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ゲームが現実(リアル)で、リアル(現実)がゲーム!?  作者: 日出 猛
第1章 ~起~ 俺が雪姫?!
7/27

7話 グッドモーニング?

2日目の始まり

ピピッ ピピッ ピピッ


 耳ざわりな音がする……。いやな音から逃げようと、腕に抱いてる柔らかな感触を強く抱きしめながら、布団の中に頭をもぐり込ませる。

 柔らかな布団が耳ざわりな電子音をさえぎり、やすらかなまどろみがかえってくる……。腕の中の柔らかな感触が心地よい。


コンコン


 足元の方から何か聞こえる……。


カチャ

「もうっ、またお布団被って、早く起きなさい」

 やさしいけどちょっと呆れてる女性の声が近付いて来て、一気にあたたかいお布団が奪い去られる。朝の空気がまとめた髪の下から首筋に吹き込んできてひんやりする。

 暖かなお布団をうばった犯人を確かめ、お布団を取り返そうと、重いまぶたをうっすらと開く。銀色の影越しに健康的な美人の呆れ顔が見える……、この顔知ってる……、風吹貴(ふぶき)だ、俺の嫁だ。

 風吹貴(俺の嫁)が起こしにくる、何時の間に結婚したんだっけ……? なんだかぜんぜん頭がまわらない……。俺嫁が起こしに来たんだから起きないと……。力の入らない手足に鞭打って身体を起こそうとしてると、左腕が大きな手に掴まれて軽々と引き起こされる。


「おはよ、雪姫(ゆき)。シャワー浴びてすっきりしておいで」

 風吹貴が雪姫()を笑顔で見つめながら朝のあいさつをして来た……。返事しないと……、寝ぼけてるのか舌が上手く回らないし、声を出すのが億劫だが、なんとか返事する。

「おはよ……」

 声が小さく元気のない情けないあいさつだったが、目の前だから聞こえるだろう……。風吹貴の左手が、雪姫()の左腕を握っている、風吹貴に片手で引っ張り起こされた……? 雪姫()の腕、風吹貴の腕より細くないか……?

「雪姫は、本当に低血圧で朝弱いね。早くシャワー浴びてらっしゃい」

 風吹貴の声に思考が中断された。……低血圧? 低血圧の友人は朝が苦手だと言っていたな……。俺は、健康診断でもうちょっとで高血圧だから注意しろと言われてて寝起きは良かった筈……。


 ダメだ、頭が回らない、シャワー浴びて来いと言ってるし、浴びてすっきりしよう……。それで目も覚めて頭もすっきりするだろう。ベッドから足を下ろすと、素足に絨毯の長い毛足が絡みくすぐったい。立ちあがると、風吹貴のボリュームたっぷりのバストが目から数cmという至近距離にあり近すぎて焦点が合わない。なんで俺の目線は風吹貴のバストと同じ高さなんだ……?

「ほら、ないと君は置いて、時間ないから髪濡らしちゃダメよ」

 右手で抱いていた温もりが風吹貴に取り上げられ、代わりにバスタオルが突きつけられる。風吹貴の右手には、大きな雪だるまのぬいぐるみが握られている。風吹貴が俺から何かを取り上げて、風吹貴の手にぬいぐるみがある? ……あれを俺が抱いていたのか?

 風吹貴の手で、背中に垂れさがっていたみつ編みの髪が、頭の上にあげられてタオルで巻かれた。髪の毛が長くて銀色……?

 頭の中が疑問符でいっぱいになるが、答えを出そうにも頭が回らない、シャワーを浴びて来よう。


 開いたままのドアをくぐって廊下に出る。リビングとダイニングの間を抜けて階段へ向かう、頭がはっきりしないだけじゃなくて、手足の動きもだるい。だるいのはだるいけど、動けない程ではない、階段を下りて廊下の突き当たりに風呂が有る、風呂の場所はおぼえている。

 1階に下りて、廊下を進むと右手に扉が見えた。これはトイレの扉……。意識すると、寝ぼけて回らない頭にも生理的欲求が伝わって来た。シャワーの前に済ませてしまおう……。

 電気を付けてトイレに入る。トイレの中ですることは限られている。パジャマのズボンとその下のパンツを纏めて下ろし、便座に腰掛ける。パンツが水色だ……、足が白くて細い……。寝ぼけた頭でぼうっと考え事をするうちに出す物を出しきった。ウォシュレットでお尻を洗い、トイレットペーパーで水気を拭き取る。……お尻だけじゃなく、前の方も濡れているんで新しいペーパーでそちらもふき取った。……慣れない感触だった気がしたが、考えるのが億劫だ。さっさとシャワーを浴びて来よう、温まればきっとすっきりするはず……。ズボンとパンツを履いて、トイレを流し、風呂場へ向かう。


 脱衣所でパジャマを脱ぐ、ボタンがなんだか外しにくい、寝ぼけてるせいか? なんとかパジャマの上着を脱ぎ捨て、ズボンを下ろす。水色の上下の下着を着た白い肢体が露わになった、下着脱がないと……。ブラとショーツを脱ぎ捨て、浴室に踏み込む。何か心に引っかかるが、それが何か考える気力がわかない……、とにかくシャワー浴びよう。


 ボーっとした頭の半開きの視界に、新雪のように白い雪姫の幼い肢体が映る、雪姫はシャワーに手を伸ばしている、ああ雪姫もシャワーを浴びるのか。ジロジロ見るものじゃないよな、雪姫から目をそらしシャワーの温水コックを開く。高いフックに掛けられたシャワーヘッドを軽く背伸びして手に取る、ずっしりとした重量を感じているとシャワーが噴き出してくる。

「ひゃん」

 水圧に手が負けあらぬ方向に向いたシャワーヘッドから噴きだしたまだ冷たい水が顔にかかって悲鳴を上げていた。取り落としたシャワーヘッドを両手で拾い、しっかりと右手でにぎり直す。だいじょうぶ、ちゃんと持てば水圧に負けない。お湯が適温になったのを確認して、肩口からシャワーのお湯を浴びる。

 肩から肘、手首と順にお湯をかけて暖めていく。青白かった腕が温まるにつれて赤味がさして紅潮したようになる。シャワーを左手に持ち替えて右手を温めていく。首筋にお湯を掛けながら右手で肌を撫でる、微かに汗でベタついていた肌がお湯で洗い流されて本来のキメ細かい滑らかな手触りを取り戻していく。肩越しに背中を流し、お尻の曲線をなぞる。

 身体の前にシャワーを戻し、胸にお湯を掛ける。桜色の頂をもつ未成熟な膨らみが、お湯を浴びて紅潮していく。身体が温まって来るにつれ、薄い胸の下で脈打つ非力な心臓の鼓動が強まり、呼気が温かいものになる。頭に血が巡り、本調子とは言えないものの頭が回転し始める。


 俺は何をしてる? シャワーを浴びている。左手でシャワーの湯を掛けながら、右手でふくらみかけの胸をそっと撫でている。視線を落とした視界の中、紅潮しピンクに染まった色素の薄い白い肌、その未熟な胸を小さな白い手が撫でている。その先には、細く長い白い足があり、その付け根には少女の印が刻まれていた。

 振り返ると、全身を映す大鏡に温まった肌を紅潮させた真っ白な少女雪姫が映っていた。そうだ、俺は天王院(てんのういん)雪姫(ゆき)の身体になっていたんだった。寝ぼけた状態で自分がしていた行動を思い出し、恥ずかしさが湧きあがる。力が抜けた足は身体を支えられず風呂場にへたり込んだ。

 鏡の中の雪姫は羞恥に顔だけでなく全身を真っ赤に染め、両膝を合わせて足を可愛いお尻の左右に添えて座り込んでいた。これが俺? 確かめようと右手を伸ばすと、鏡の中の雪姫も左手を伸ばしてくる。やっぱりこれが俺なんだ、そう思うと余計に鏡の中の雪姫が真っ赤に染まっていく。本当になんで俺は雪姫になってるんだ。その答えはまだ見えないが、『今』雪姫であるのは仕方ない、受け入れて前に進もう。


 気を取り直して立ち上がると、シャワーを全身に流してもう一度身体を温める。この身体は低血圧で朝は弱いらしい、まだ頭はボーっとしていて本調子じゃない。本当にこんな極端な虚弱設定でキャラメイクした半年前の俺が恨めしい。浴室から出て、バスタオルで身体を拭いていたら、脱衣所のドアが開いた。

「もう本当に雪姫、朝はだらしないんだから」

 そう言って風吹貴が手に着替えを持って入って来た。雪姫の通う夢翔学園中等部の制服一式の上に、フリルに彩られた真っ白な下着が乗せられていた。これを、今から雪姫()が着るわけか……。雪姫として生きるって言うことはそういうことだよな、もう着替えも3回目だし、着る下着は3枚目だ。ごねてもどうにもならないんだから、男らしく着てやるさ、少女用のランジェリーと女子中学生の制服を。

 ショーツを履き、次はブラ、今回のブラはホックのない胸丈のタンクトップのようなデザインをしてるを頭から被り、引っ張って胸をくぐらせる。その上からキャミソールを着て、ブラウスに手を伸ばした所で風吹貴からストップが掛った。


「ストーップ。服着る前にUVケアしないとダメでしょ、ぼんやりしてるんだから」

 へっ? UVケアっていうと紫外線対策だよな、夏なら分からないことも無いけど、もう12月も後半で長袖着るのに服を着る前? 顔以外もって意味だよな? 考えているうちに右腕を取られて手の平、手の甲、指から二の腕まで満遍なくUVローションが塗りこめられていく。続いて左腕も塗りこまれると、ローションの瓶が渡された。

「背中塗ってあげるから、顔は自分で塗りなさい、首筋も忘れちゃダメよ」

 言葉と同時にうなじにひんやりしたローションの感触が伝わる、見えない分腕よりずっとくすぐったい。とりあえず、無意識に貯めてる映像記憶から引き出して腕に塗っていた時、風吹貴がとっていた量のローションをとると、小さな両手に広げて鏡を見ながら顔に塗り込んでいく。その間に風吹貴の手は首裏から肩口に移動している。額・鼻筋・頬・顎と塗り込んで風吹貴に言われた通り細い喉にも塗り込んでいく。

「よし、じゃあ後は足ね。右やってあげるから、左は自分でね」

 まだやるのか? 足にまでUVケアってこの白い肌を必死に保たなきゃダメなのか? 吸血鬼じゃあるまいに……。あっ、そうか。ケアしてるから白いんじゃなくて、白いからケアが居るのか。雪姫の髪や肌、瞳の色を決める時にアルビノ一歩手前の低色素量というのをイメージしてた。紫外線から身体を守るメラニン色素が少なすぎて普通の日本人ならなんでもない紫外線が雪姫()の身体には有害なんだろう。半年前の俺、死んで良いよ。

 足はくるぶしから太ももまで、風吹貴のやるのと同じように塗って、そのまま黒いハイソックスに足を通した。これ本当はニーハイらしいんだが、足は小さくて細いから小さいサイズしか履けないのに、不釣り合いな長さしてるから膝上丈の筈のソックスが膝下までしか届かないらしい、不便な身体だ。

 ブラウスを着て、スカートを履く。人生初スカート着用体験だよ、昨日は気付いた時に既に履いてたから、こんな日が来るとは思っても居なかった。

「スカート直してあげる」

 腰骨のあたりで履いていたスカートをくいっと引き上げられウェストの括れた部分で止め直される。確かに、見える光景は昨日見たのと同じになったけど、こんなに上げたらスカート短すぎないか? ちょっと屈んだら下着見えそうなんだけど。リボンタイを締めるのにもたついてたら、また風吹貴の手が伸びて来て結ばれた。ちょっと風吹貴、過保護じゃないか? 疑問を感じながらブレザーを羽織ると身支度の完成だ。


「髪は食べてる間にやってあげるから、朝ごはん食べなさい。時間無くなるわよ」

 そう言えば、髪がそのままだった。タオルを外して下ろしたみつ編みは寝ている間にほつれていた。これではさすがに見苦しいのかな? 風吹貴の後についてダイニングに入り分厚いクッションで底上げされた雪姫()の席に座る。リビングの時計は7時40分を指していた。始業時間まで1時間強あり、1km足らずの道のりなら15分も掛らない筈。

「はい、召し上がれ。スープは残さず飲んでね」

 風吹貴の声が掛り、朝食が並べられた。メニューは、サンドイッチとスープ。サンドイッチはいわゆるベーグルサンドって奴か? 食べたことはないけど、見たことは有る。スープの方は濃厚なポタージュスープの類だろう人参と他数種類の野菜の香りがする、複数の野菜を使ったポタージュスープか。

「いただきます……」

 まずスープを良く冷まして一口すする、濃厚な野菜の香りと同時に、苦味が口内に広がる。うっ、吐き出す程ではないけど、眉を歪めるには足る程だった。ベースは人参なのにこんなに苦く感じるって、雪姫の舌はどれだけ子供舌なんだろう、普通に野菜を取るのは結構厳しそうだ。おそらく栄養を考えた上の措置なんだろう、量もカップ1杯でスープを口当たりの良い物で割ると必要量を雪姫()には飲みきれないと考えてのこと。がんばって飲もう、せっかく作ってくれた風吹貴にも悪いし。

 口直しのつもりでベーグルサンドに手を伸ばす。雪姫()の小さな口でも大丈夫なように薄く仕上げられたサンドイッチにはスライスされたゆで卵やハム、チーズ、レタスが挟まっている。小さな口を懸命に開いてサンドイッチにかぶり付く。小さく噛み切られた跡を残したサンドイッチを離して、はむはむと一口を噛みしめる。ベーグルが柔らかく香ばしくしっかりとした味で具材を受け止めて本当に美味しい。もっと食べたいけれど、小さな口はいっぱいで、新たに詰め込むことも、すぐに飲み込むこともできない。歯がゆい思いを感じながら、一口目を味わいつくすように懸命にはむはむと噛み、細かくなった所で少しずつ飲み込む。

「……美味しい」

 喜びと感謝を伝えたくて、言葉にする。


「良かった、今日のベーグルは上手く焼けたからね」

 背後から風吹貴の返事が返って来る。ベーグルから自家製ですか? 手が込んでるな。振り返ると、ブラシを手にした風吹貴がみつ編みを止めていたゴムを外している所だった。

「髪の毛結ってあげるから、雪姫は朝ごはんに専念する。遅刻しちゃうよ」

 そう言った風吹貴に顔を前に向けられる。とりあえず、目の前の食事に専念しよう。スープを一口すする、苦い。苦いんだが、それだけじゃない、甘味やうま味、様々な野菜の風味が苦味のベールの向こうで調和している。苦味に過敏すぎる雪姫の舌じゃなければ、このスープも凄く美味しいんじゃないかと思う、でも苦い。昨日の缶コーヒーほどではないから、我慢して飲みきれるだろう。

 ベーグルサンドをぱくり、はむはむ、こくんと食べ、眉をしかめながらスープを飲む。それを繰り返すうちに、ほどかれた髪のブラッシングが毛先から根元に達していた。超一流プロフェッショナルの腕を持つ風吹貴のブラッシングは、無駄なく丁寧で気持ち良い。食べる手を止めて思わずブラッシングの感触に陶酔する程に。なのに、その心地よい手が止まる。

「お口がお留守だよ、しっかり食べないとダメでしょ」

 風吹貴に叱られた。子供を叱るような口調に年長の男性としてプライドが傷つけられるが、今の立場は中学生の妹である雪姫なので反論できない。それ以上言われないように、口を動かす。スープをすすり、ベーグルサンドをはむ。半分ほど食べたあたりから、ちょっとペースが落ちてくる。残り4分の1位になるとけっこう厳しくなってきた。でも、出された食べ物を残すのは気持ち悪い、まして美味しい物ならなおさら。ベーグルがもっちりしてるんで顎も疲れて来ていたが、頑張って食べる。後半分、もう一口だけと自分を励ましながら、食べきった。

「……ごちそうさま」

 両手を合わせて感謝を込めた勝利宣言をする。自分を褒めてあげたい気分になるが、それ以上に風吹貴に感謝する。きっとこの食事は容量の少ない雪姫の(この)身体がギリギリ食べられる範囲で必要な栄養がとれるように考え抜かれた物なんだろう。

「よく食べたわね。偉いぞ雪姫」

 そう言って風吹貴に頭を撫でられた。いつの間にか、お尻に届く雪姫()の銀髪が後頭部の左右で肩口程度の高さまでの2つのロール髪に結い上げられていた。全くひきつれた感じも無く、何時そうされたかも気付かない手際の良さだった。


「さ、歯を磨いてさっさと出ないと遅刻しちゃうよ」

 風吹貴に言われて時計を見ると、8時20分になろうとしていた。さっき時計見てから、俺は食事しかしてないよな? 朝食に掛った時間は長いが、この面倒そうな髪型をその時間で仕上げるって風吹貴の手腕も凄いな。

 確かにゆっくりしてる時間はなさそうなので、言われた通り歯を磨く。昨日の晩やってるから、歯磨きに問題はない。部屋に戻って、カバンを取って来る。6教科分の教材と筆記用具を詰めたカバンは雪姫()の手にはずっしり来る。

 カバンを持って階下に降りる。玄関には雪姫()にしか履けそうにない小さいローファーが有るのでそれを履く。履きながらよくこんな小さい靴に足が入ると感心する。

「はい、お弁当」

 後から降りてきた風吹貴が声をかけて、水色のチェックで雪だるまのアップリケが付いた巾着袋を差し出して来た。かなり小さな弁当箱しか入りそうにない巾着袋の中には、予想より小さい弁当箱が入ってるらしい。だが、昨夜と今朝の経験からするとその弁当は丁度良いか食べきるのが困難な大きさかも知れない。


 カバンと弁当を持って外に出ようとした所で、風吹貴に呼び止められた。

「今日は晴れて冷え込むから、コート着て、日傘差して行きなさい」

 一瞬、風吹貴の言葉が理解できなかった。冬晴れると放射冷却で曇った時より冷えると言うのは理解できるコートを着ていけというのは賛成だ。雪姫の(この)身体は冷え症だから武人(元の俺)なら平気な所でも防寒具が必要になるだろう。だが、何故日傘を差す? 朝時間をかけてUVケアしてたのじゃ足りないのか?

 考えながら渡されたダッフルコートに袖を通し紐を止めると、そこに白い日傘が差しだされる。これ差さないとダメなの? カバン片手で持つのがちょっと辛いんだけど。不要なら閉じてカバンと一緒に持っていけば良いと割り切って受け取り、玄関のドアを開け外に一歩踏み出した。

 冬の朝の柔らかい筈の日差しが目に染みる。この色素の少ない青い目には日本の日の光は厳しいようだ。大人しく雪姫のことを雪姫()以上に知る風吹貴の言葉に従い、日傘で陽光を遮る。右手にカバンと巾着袋、左手に日傘を持ち、雪姫として初めての登校が始まった。

初めての朝を迎え、低血圧の苦労を味わいました。

この頭が働いてない状態を書きたくて、一人称という形態を選んだので、書けてちょっと満足です。


次は、登校風景。初ものがあるうちはそれをじっくり書いて行きたいと思います。

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