いざ、アメリカ
7月7日、16時ちょうどこの時間にしたのは時差を考えてのことだ。清隆、巴、哲也、エドガーの四人は清隆の住むアパートの外にいた。
清隆が御札を掲げ、魔力を込める。すると、御札から魔法陣が展開され、四人を囲んでいく。そして、
四人はその場から消えた。
四人が転送されたのは、アメリカ校の校舎内のある部屋のようだった。そして、清隆が横を見ると、そこには一人の女性がこっちを見て座っていた。金髪の長髪に青い目、白い肌、整った顔立ち。清隆はこの女性に見覚えがあった。この女性こそがアメリカ校学園長、メリッサ・フリーザである。メリッサは微笑むと口を開いた。
「久しぶりね、清隆君、そして、初めまして、みなさん、私がアメリカ校学園長、メリッサ・フリーザです。よろしくお願いします。」
「お久しぶりです、メリッサさん。」
「「「初めまして、メリッサ学園長。」」」
それぞれ、挨拶をかわす。メリッサは話を続ける。
「時間も限られているので早速本題に入るわね。」
「はい・・・」
それから、メリッサは清隆を含む四人に様々なことを話した。
義隆がワールドエンド発生の根元の一つである魔獣の討伐に行って帰って来ないこと、義隆は生きていること、ロストヘヴンという場所にいること、そこにはアメリカ校の教師たちもいること、そして、また、ワールドエンドが再来するかもしれないこと、その原因の一つがロストヘヴンにいる魔獣が一つの原因であること、だから、早く魔獣を倒し、ワールドエンド再来を防ぎ、義隆たちを救いたいということ・・など内容は極秘級のものだった。
「急ですが、五時間後にロストヘヴンへ出発します。それまでに準備を終わらせておくこと、解散!」
メリッサの声で 各自出て行く。
清隆は一人、アメリカ校内のガレージを見物していた。
「あれは・・」
清隆が見ていたのは、三機の謎の機体。周りにある他の機体より遥かに小さく、人間サイズの大きさだ。
「・・・」
結局、考えてみてもわからなかった。そこにユウジがやってきた。
「おお、約一ヶ月ぶり、元気にしてたか。」
早速、声をかけてきた。清隆もそれに答える。
「い、いや、僕は大怪我をしてたかな。」
「あー、そういえば、そっちは魔獣の大群の被害にあって、学校も休みだったな。で、お前はそれの被害者だというわけだ。」
「・・うん、当たり。魔獣の被害っていえば、そっちもそれなりだって聞いたけど・・」
「うーん、まあ、多少は家が壊されたとかは聞いてるが、それなりってほどじゃない。少なくとも、イギリスよりかはな。」
「そうか・・」
お互いに近況報告をしたところで、清隆は疑問に思っていたことを聞く。
「なあ、ユウジ、あの小さい三機の機体はなに?」
清隆は例の三機を指差す。答えはユウジではなく、別の方から帰ってきた。
「それは、MRKだ。」
「・・・誰?」
清隆は答えよりも声の主が気になった。
青い瞳、金髪のショート、若干天然石パーマ気味の髪の男だった。
「俺の名は、ヴェンセント・クリサリア。覚えてないか、一度、顔を合わせているはずなんだが。」
「・・・!思い出した。そういえば、マシンナーズのメンバーだったよね。」
「そうそう、たぶん、それが俺だ。良かった、思い出してくれて。ちなみに俺のことはヴェン呼んでくれていいぞ。
ヴェンはハイテンションだ。ヴェンは話を続ける。
「ちなみにMRKはmagician・reinforcemect・kitの略で魔術師強化キット、簡単にいうと魔術師専用の戦闘能力アップの強化外装だ。最近、アメリカ校でも、巨大ロボットは人間よりは早く細かい移動ができないというのが問題になってな、それで前から開発が進められていたんだ。で、あの三機は俺たち二人で作ったんだ。まあ、一機は未完成だけど。さらに追加だが、以前の景虎とは違って、魔力チャージは必要としない。故に以前のような魔力切れによる機能停止はない。」
「じゃあ、ヴェン。これの動力源は?」
清隆は質問する。すぐに答えが返ってくる。
「これらの機体の動力源は、使用者の魔力だ。これらは使用者の魔力を吸って動いている。」
「すごいな、学生の技術でこんなものが作れるのか!」
清隆は感心する。彼らの技術の高さに。
ヴェンの話はまだまだ続く。
「ちなみに左の黒い機体が、ユウジの専用機、景虎二式・ストライク・FF。これは、スピード重視の機体だ。ちなみに、基本武器は光線銃とビームサーベル。続いて真ん中にあるのが、俺こと、ヴェンセント専用機、景虎二式・ランサー・FF。この機体は攻守バランス型で、基本装備は、盾と槍と一応、片手用サブマシガン。で、最後の機体はまだ未完成だが、紹介しよう。この機体は、景虎二式・ガンナー・FF。この機体は、遠距離攻撃型。基本装備は、光線銃、追尾型遠距離系魔法投射ユニット、パイルバンカーの三つ。早くこの機体を完成させたいもんだぜ・・・・」
こうして、五時間はあっと言う間にすぎていった。