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魔法使いの争乱(マジシャンズ・パーティー)  作者: 星見 夜人
リボーン・ガールフレンド編
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デートのお誘い

今日も休日。清隆は走っていた。昨日、巴が新たに契約精霊が増えた記念にデートしろといって来て待ち合わせ場所にむかっているのだ。

しかも、朝、7時から。清隆はこの誘いを断ろうとした。清隆は魔闘会で優勝し、今は亡き恋人、美雪(みゆき)の最後の言葉を聞き、罪を償うまでは、誰とも付き合わないと決めていたし、それが自分に課せられた罰だと信じて疑わなかったからだ。だから、デートなどはもっての他なのだ。しかし、断ろうとすると、巴に殺されそうになったので仕方なくこんなことになっている。


待ち合わせ場所であるジャスティスへ向かう。ジャスティスに着くと、巴がテラス席で待っていた。

「遅れてすみません、待ちました?」

「大丈夫だ、清隆。時間にも間にあっているし、私もさっき来た所だから。」

「でも、男性が女性より先にくるのが、礼儀ってもんじゃないですか。」

「ふう~ん、ちゃんと礼儀をわきまえているんだな。」

と、清隆と巴がたわいない会話をしていると

店員がお冷を運んで来た。

「いらっしゃいませ、お客様。」

と、言う店員の顔を見ると、メアリーだった。

「って、清隆じゃん、今日は先輩と?はあ~

清隆って女たらし?」

メアリーがとんでもないことを言ってきた。

「なんで、そうなる!」

「だってさあ、清隆ってば、数日前に静香を連れて来てたし、静香と付き合ってるのかなって。」

「いや、あれはあいつが誘ってきたからであって・・・」

「ふう~ん」

そんな会話を聞いていた巴が清隆を睨んでいた。

「じー」

この後、清隆は朝食を巴の視線を痛いほどに感じながら食べるのであった。

朝食を食べ終え、ジャスティスを出た清隆と巴は、巨大ビル型ショッピングモール「アポロン」に来ていた。そこで二人はウィンドウショッピングを楽しんでいた。そして、135軒目「魔法屋」なるものに立ち寄る。だが、清隆はこの店がどういう店を全く知らなかったので、質問する。

「巴さん、魔法屋ってなんですか?」

「名前の通りだよ。魔法の道具を売っている店さ。」

「魔法の道具って、なぜこんな一般客が来る店の中で・・」

「知らなかったの?ロンドンじゃ、魔法使いじゃなくても魔法を使える人は多いんだよ。」

と、巴の答えに清隆は驚き、そして、自分のロンドンの一年間はなんだったんだろうと自分の無知さを知ったのだった。早速、清隆と巴は魔法屋の中に入る。

「いらっしゃいませ。」

店には魔女のコスプレ?をしたおばあさんがいた。清隆は店で剣らしきものを見つけるやそこへ向かっていった。

「わあ~なんていい艶をした剣なんだ。それに刃の形もいいし、なんといってもこの黒。まさしく俺好みの色だな、うん!」

清隆が見つけた剣は、「魔剣パンサーブラック」。この剣は、「ブラックストライク」 と言う遠距離魔法を使用者に使えるようにする剣である。この剣を見ている清隆は、まるで小学生がトランペットを真剣に見つめている姿と似ていた。パンサーブラックが気に入った清隆は、店員にお金を払い、剣とクリムゾンレッドの鞘を購入した。清隆はこの時、黒騎士の依頼の報酬のお金があって良かったと思うのだった。

「これから、よろしくな、相棒!!」

こうして、清隆と魔剣パンサーブラックは出会ったのだった。

その頃、巴は、あるピアスに夢中になっていた。

「このピアスいいなあ。」

ピアスを見ている巴の姿は、トランペットを見ている小学生の姿を思わせた。そんな巴の姿を見た清隆が声をかける。

「巴さん、それほしいんですか。よかったら買いますよ。」

「本当に!清隆からのプレゼントかあ~

ふふふ~ん♪」

清隆は、巴にピアスを買ってプレゼントする。

それからもウィンドウショッピングを楽しみ、外も暗くなって星も出てきた頃、清隆と巴は、「イカロスの丘」に来ていた。そこで二人は、芝生で寝っころがり星を見ていた。

「綺麗ですね、星空。」

「うん、そうだね、気に入ってもらえれば嬉しいかな。ところで清隆、一ついいかな。」

巴は、深く深呼吸をする。

「私の気持ちを聞いて欲しいんだ。」

「はい。」

清隆の返答を聞いた後、巴は、話を続ける。

「清隆、私は、清隆が好きだ。だ、だから私と正式に付き合って欲しい。だめかな。」

二人の間にしばしの沈黙が訪れる。清隆は、告白された直後、失った元恋人 、美雪の姿が思い浮かんだ。

~僕もまだ美雪のことを引きずっているんだな。魔闘会で優勝して、僕の願いが叶えるまでは・・~

「巴さん僕は、自分だけが幸せになることはできないと思ってます。だから、巴さんの気持ちには答えられない。巴さんだけじゃない誰とも。魔闘会で優勝して、僕自身の罪を償うまでは、僕に誰かと付き合うことは許されないんだ。」

清隆は、自分だけ気持ちを告げる。巴はそれを聞き、少々残念そうな顔をしたが、事情を知っているためそれを受け入れる。

「そうか、なら、清隆の罪を償うことができるように私も清隆を魔闘会優勝に導いて見せる。」

2人は握手をする。こうして、二人の長い長い一日は終わった。


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