理性を失う人々
友香がメアリーと戦闘中の頃、巴も静香と戦闘中だった。
「焔斬り、氷柱斬り、雷斬り!」
巴は次々に精霊を纏い、静香に攻撃する。
「巻き戻し・・うっ・・ぐはっ・・」
静香は巻き戻しで精霊を召喚される前に戻すが、それを上回る速さで巴が次々に精霊を召喚していくため、攻撃を防ぎきれず、攻撃をくらう。
「「はああああ!」」
二人の攻防は続く。やがて、静香も巴の精霊召喚を上回る速さで精霊を召喚される前に戻すことができるようになっていた。
そして、巴の精霊がすべて消えた瞬間、
「森園先輩、あなたは無防備、これで終わりです。光と闇の二重奏!」
静香が魔法陣を展開し、光と闇の二つの光線を放とうとした時・・
「うっ、ぐはっ。」
突如、静香の後ろに現れ、静香を斬りつける黒い影。静香は後ろを振り向く。
「・・影精霊スプリガン・・またしても・・私は同じ手に・・ぐはっ・・」
静香は倒れる。巴は静香の倒れざまに溜息をする。
「また、同じ倒れ方か・・全く成長していないようだな・・今度はちゃんと精進しろよ。」
巴がそうつぶやくと、美雪が立ち上がった。
「森園先輩、ありがとうございました。助けてくれて。」
「いやいや、美雪は私の大事な後輩だしな。それにお前とは清隆を巡って争う仲であるが、その前に友達でもある。友達ってのは困っていたら助け合う仲だろう。」
「そうですね。私たち友人ですものね。」
そう、美雪と巴は友人だ。清隆が美雪に巴を紹介したところ、二人はすぐに気があい、仲良くなったのだ。
美雪は気になっていたことを質問する。
「森園先輩、一ついいですか?」
「うん?なんだ。」
「メアリーも葛木さんも自分の意思で清隆と私を殺そうとしたわけじゃないと思うんです。二人があんな行動をするなんて、魔法による干渉か、何かによるものだと思うんです。なんか知りませんか?」
「・・・うん、二人がおかしかったのは、魔法による干渉だ。この現象は今、ロンドン中で起きているんだ。どうやら、心の中の憎しみなどの感情が何らかの影響で暴走し、理性を失って、さっきのような行動に出るという人が後をたたない。」
「そうなんですか・・」
「ああ、全く、これじゃあ、あの時と同じ・・」
「あの時?」
「いや、何でもない。美雪、友香、帰ろう。戦いで疲れだろうからな。」
こうして、静香とメアリーの暴走事件は解決し、三人はそれぞれの家路に帰って行った。