二人の精霊使い
「森園先輩・・どうしてここに・・」
静香が立ち上がる。
「私たちがここに来たのは、清隆のお見舞いにだ。そして、ここへきてみたら、様子のおかしいお前たち二人が、美雪を攻撃していたから、美雪を助けにきたってわけだ。」
「様子がおかしい?どうして!天夏さんは清隆をあんな目に合わせて、もしかしたら、清隆は一生目を覚まさないかもしれない状態なんですよ。そうなった原因は天夏さんにあります。そんな奴を生かしておけますか?」
「・・・それは違う。葛木。清隆はあくまでも自分の意思で美雪を守ったんだ。それに一回振られた程度で振った相手を恨むなんて、最初から告白すらする資格はないと思うぞ。」
「そうです、私は清隆さんに一度振られてますけど、諦めません。清隆さんに私の思いが伝わるまで何度でも思いを伝えます。」
友香も口を開く。
「・・・うるさい‼」
静香は魔法陣を展開させる。
「いくぞ、友香!」
「うん、お姉ちゃん!」
巴は剣を構える。友香は3m級、重量級の精霊、杭精霊「パイル」を召喚し、手に精霊を纏わせ、パイルをパイルバンカーに変身させる。
「いいか、友香、私は葛木の相手をする、友香はローズの相手をするんだ。」
「了解、お姉ちゃん。そっちも負けないでね。」
「どの口が言っている。私は三年だぞ。二年に負けるものか。」
「ふふふ、清隆さんには一度も勝ったことないんでしょ。」
「う、うるさいな・・とにかく、私は負けない。友香、お前も負けるなよ。相手は上級生だぞ。」
「愛の力さえあれば負けないよ。私は清隆さんに一度助けられてんだから今度は私が清隆さんを助ける番だよ。」」
友香がそう言うと、
「光と闇の二重奏!」
静香が友香に光と闇の光線を放つ。
「ここは任せろ、宮野剣術・六の型・剣が作る盾!」
巴が友香の前に立ちふさがり、剣精霊「テンペスト」を召喚し、剣に変身させて、その剣を宙にあげ、もう一方の剣でうまく突き、剣を回転させて、光線をはじく。
「くっ・・」
静香は悔しそうだ。
友香は攻撃が止まったその隙にその場から距離をとってメアリーに近づく。
メアリーはまだ宙に浮いていた。
メアリーは近づいてきた友香を見下ろす。
「・・・入学してまだ三ヶ月立たないひよっこが私に勝てるとでも思っているのかな?」
「ひよっこだなんて・・私は高校に入る前から家で魔法の教育を受けています。ひよっこだと思っていると痛い目に合いますよ。」
メアリーの言葉に友香が反論する。
「森園さん、あまり先輩をなめない方がいいわよ。」
メアリーは友香にそう言った。さらに友香は反論する。
「愛さえあれば、先輩だろうと仏様だろうと負けません。」
「どうだか。じゃあ、試す?私の清隆に対する憎しみとあなたの清隆に対する愛、どちらが強いかを!」
「はい‼」
それから、しばらくの沈黙。そして、先に友香が動き出す。
「届け!パイルバンカー!」
友香の手に装備されたパイルバンカーが光の速さで伸びて、メアリーに向かっていく。
(速い、避けられない・・でも、でもこんなの防御壁で守れば問題ないわ。)
メアリーは防御壁を展開させる。するとすぐにパイルバンカーがメアリーに襲いかかってくる。防御壁とパイルバンカーがぶつかる。
防御壁によってパイルバンカーの勢いが失われる。
「こんな程度なの?森園さん。あなたの清隆に対する愛は。」
「まさか。これからですよ。お楽しみは。パイル、変身解除。」
パイルバンカーはもとの巨大な精霊の姿となってメアリーの頭上に現れる。
「えっ?」
メアリーは驚く。頭上の巨大な精霊。メアリーの頭には「死亡フラグ」の文字が浮かぶ。
そして、パイルはそのまま落下し、メアリーを巻き込んでコンクリートの床に落ちた。パイルは友香の手の刻印に吸い込まれて消えていく。
メアリーを見ると、パイルに踏みつぶされる形になったため、コンクリートにめり込んで、気絶していた。
「えっへん!私の清隆さんに対する愛の勝利ですね。」
友香はメアリーを撃退した。