Can't forget memory(キャント フォゲット メモリー)・死の記憶
全国大会が終わって翌日、私たちは春日部市へ帰って来て、剣道部内での反省会も終わり、私は清隆と一緒に家まで帰る。しかし、街の様子がおかしい。
昼間なのに空が赤く、たくさんの鳥たちが逃げていくように空を飛んでいた。
すると、空から見たこともないような生き物が次々に降りてくる。そして・・
ウゴゴゴゴゴ
生き物は雄叫びをあげ、火を吐いて周りの家や人をを焼いていく。
「・・・」
「・・・」
私と清隆は目の前の光景に声も出なかった。
そして、私たちの前にも例の生き物がやって来た。
青く艶のある固そうな皮膚、尖った両手、顔の中心の赤い目、4mを余裕に超える全長。
私は怯えて清隆の影に隠れていた。清隆は私と違い、竹刀をだし、構えて戦う姿勢を示す。さらに清隆が口を開く。
「逃げろ、美雪。」
清隆はそう言った。
でも、私にはそれが出来なかった。清隆が死んでしまうかもしれないのに、一人だけで逃げるわけにはいかない。清隆を死なせたくないという気持ちが私の足を止める。そんな感じで私が躊躇っていると、清隆が視線で逃げろと訴えてくる。覚悟を決めてようなそんな視線。結局私はその視線に負けて、私は逃げ出した。
清隆はそれを確認すると、例の生き物に竹刀で攻撃しようとする。だが・・生き物はそれを無視するかのように私に向かって炎を吐いて来た。私はそれに反応出来なかった。すると、清隆が魔法で私の近くに現れる。私を庇おうとしてくれたのだろう。しかし、清隆がやって来たのは私の横だった。清隆は魔法のコントロールが出来なかったのだ。
今までありがとう・・清隆。さようなら。
私はそのまま炎を浴びて、焼け死んだ。
これが私の一度死ぬまでの約一年半の記憶だ。忘れることができない記憶の全てだ。