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魔法使いの争乱(マジシャンズ・パーティー)  作者: 星見 夜人
ワールドエンド・リメンバー・オブ・ダイアリー編
53/68

Can't forget memory(キャント フォゲット メモリー)・告白

それから、私のマネージャーとしての仕事が始まった。

主な仕事は部員の怪我の手当と壊れた竹刀の修理及び竹刀の組み立てだった。

私は後者の方がなかなか覚えられず、大変だった。

「あれがこうで、これをここにかけて引っ張る・・あれ?どうやるんだっけ。」

私が竹刀の組み立てに手間取っていると、

「大丈夫か、マネージャーさん。」

声が聞こえた。顔をあげると、清隆がいた。

「ちょっと貸して。」

清隆が組み立てかけの竹刀を取って、あらためて組み立て直す。

「ほら、できた。」

清隆が私に組み上がった竹刀を渡す。

「す、すごい・・」

私は清隆のあまりの手際のよさに感心した。

「美雪、竹刀の組み立て方わかんないんだろ、僕が教えてあげるよ。」

「いや、いいよ、清隆の練習時間が減っちゃうし・・」

「気にしないで、僕は今日腰が痛くて少し練習するのがきつかったから。」

嘘だと私は思った。

清隆はいつもどおりバリバリに練習していた。腰の痛みを隠している様子は見受けられなかった。

私は自分の時間を犠牲にしてまで私に協力してくれる清隆の優しさにもひかれていった。

それからも清隆は私をよく助けてくれた。

そして・・

「もしかして、君ひとり?俺たちと遊ばない?」

ある日の夕方。部活が終わり、家に帰っている途中、4人の男子高校生に絡まれた。

「いいえ、結構です。」

私は誘いを断る。すると、高校生たちの表情が変わる。

「ねえ、君、俺たちの誘いを断るの。断るようなら無理矢理連れてくよ、えー、ん?」

私は怖かった。誰かに助けて欲しかった。

私は手を掴まれて何処かへ連れて行かれそうになる。

その瞬間・・

目の前に人が現れて私の手を掴んでいる一人の高校生を吹き飛ばす。私の目の前に現れたのは清隆だった。

「てめえ、どっから現れた!」

高校生たちが尋ねてくる。

「まあ、どっからでもいいじゃないですか。」

清隆はそう答える。

「舐めた口を・・まあ、いい。てめえ、そいつのなんだ!」

高校生たちはさらに問う。

清隆は平然とした顔で

「恋人です、だから、彼女には手を出さないで下さい。」

といった。

私と清隆は別に恋人どうしではなかったが清隆は恋人どうしと答えるのが一番効果があると思い、そうに答えたに違いないと私は解釈した。

「その娘、お前の彼女か。だったら、俺たちが力づくで奪ってやるよ!」

三人が清隆に襲いかかる。だが、清隆はそれを物ともせずに竹刀袋から竹刀を取り出し、三人の拳を受け止め、それぞれの腹を突く。

「美雪、今のうちに逃げろ。この人たちは僕が何とかする!」

「清隆、そんなことしたら、あなたが・・」

「いいんだ、女を守るのが男の役目だっていうだろう。さあ、早く逃げるんだ。」

清隆の目は本気だった。私は清隆の言うとおり逃げた。

数分後・・

清隆はボロボロになって戻って来た。歩き方は少々千鳥足で、頬が少し腫れている。

私は申し訳ない気持ちで清隆に抱きついて謝った。

「ごめんね、清隆。私のせいでこんな・・」

私の言葉に清隆は微笑んでこう言った。

「美雪が謝ることじゃない。僕が勝手にしたことだから。それになんかほっとけないんだよね、美雪のこと。危なっかしくて。」

私は清隆の言葉が嬉しかった。そして、私は清隆に抱いていた感情を伝える。

「ねえ、清隆。さっき、私のこと、恋人って言ったよね。」

「あ、うん、ごめん。相手を説得するにはその答えが一番だと思って・・ごめん、美雪。」

「いいの、それは。ねえ、清隆、私と本物の恋人になって欲しいな。」

「それって、告白・・」

清隆と私の間に一瞬の沈黙。

「・・・」

「・・・」

そして、清隆が口を開く。

「いいよ、美雪。僕でよければ喜んで。でも、一つだけ約束して欲しい。僕はこう見えて結構、心が弱いんだ。もしかしたら、試合で負けてくじけそうになるかもしれない。そんな時、そばにいて欲しいんだ。」

「・・・うん。約束するよ。」

こうして、私と清隆は恋人どうしになった。

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