Can't forget memory(キャント フォゲット メモリー)・支えたい
部活終了後・・
「負けたか・・」
清隆はそうつぶやいた。
「そんなことない。清隆、かっこよかったよ。」
「あ・・ありがとな・・」
清隆は少し悲しそうに言った。
私と清隆は一緒に街を歩いていた。清隆が街を案内するよと言ってきたのだ。すると、清隆は剣道用具専門店の前に止まる。
「寄って行っていいか。」
清隆が尋ねてくる。私は無言で頷いた。
ガラガラ・・
私たちは扉を開け中へ入る。
「いらっしゃい。」
中から声が聞こえる。中から出てきたのは、道着を来た若々しいおじさんだった。
「角来さん、新しい竹刀と鍔、鍔度目が欲しいんだけど、何かオススメってある?」
清隆はおじさん(角来と言うらしい)に用件を伝えた。
「うーん、この竹刀といつもの鍔、それに使いやすいと評判のこの鍔度目かな。」
角来は竹刀と鍔と鍔度目を机の上に置いた。清隆は早速、竹刀に鍔と鍔度目を着けて、竹刀を振る。
ブンッ
「おお、いい・・この竹刀・・」
清隆は嬉しそうだった。
「清隆君、気に入ったかいその竹刀。」
「はい、とても。」
「そうか、そうか。この竹刀は丈夫なうえにとても軽い。お値段を少々張るがね。鍔はいつものだからいいとして、この鍔度目、最近ずれにくいと評判のやつなんだ。これも値段を張るがね。」
「これ全部買うよ。」
「そうか、清隆君はお得意様だから割引してあげよう。」
「ありがとう、角来さん。」
清隆は代金を払い、竹刀、鍔、鍔度目を受け取る。
「また、来な、清隆君。」
私たちは店を出た。
店を出ると、空はすっかり満天の星空だった。
「すっかり暗くなったね、街を案内できなくてごめんね。美雪。」
「いいよ、別に。またの機会で。」
「本当にごめん。その代わりといってはなんだけど、クレープでも奢るよ。
「ホントに‼」
「ずいぶん嬉しそうだね、クレープ好き?」
「う、うん、まあ。」
「じゃあ行こうか、この辺に美味しいクレープ屋があるんだ。」
清隆は歩いていった。私はそれについて行く。
そして、クレープ屋について、それぞれ違うクレープを注文し、その代金を清隆が払い、それぞれ頼んだクレープを受け取って、近くの公園のベンチでクレープを食べる。
「うん、美味しい。」
私は素直な感想を口にした。その言葉を聞いて清隆も嬉しそうだった。
「あのさ、美雪。その食べているクレープ、僕にも分けてくれないか。」
「え、あ、うん、いいよ。清隆も分けてくれたらね。
「うん、いいよ。」
二人はそれぞれのクレープを交換し、それを食べる。
「はっ!」
私は気づいた。
これって間接キス・・
私の顔は赤くなる。
「どうした、美雪。顔が赤いぞ。」
清隆はこの事実に気づいていない様子。
私はごまかしも兼ねて清隆の試合を見て思ったことを言った。
「清隆、私、剣道部のマネージャーになろうと思う。」
「マネージャー?どうして?」
「私ね、清隆の試合見ててかっこいいと思った。それで私はそんな清隆を支えられたらいいなって思ってさ。」
「・・・かっこいいって、・・そりゃどうも。でも、僕を支えるってそれはどういう・・」
清隆の顔が赤くなる。どうやら私の言い方が悪かったようだ。誤解をされたらしい。慌てて修正する。
「変な誤解しないで。清隆がかっこいい試合ができるようにサポートするって意味だから。」
「そ、そう。じゃあ、よろしくな、マネージャーさん。」
清隆が手を差し出して来た。
「よろしくね、清隆。」
清隆の手を握り返し、私たちは握手をした。