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魔法使いの争乱(マジシャンズ・パーティー)  作者: 星見 夜人
ワールドエンド・リメンバー・オブ・ダイアリー編
50/68

Can't forget memory(キャント フォゲット メモリー)・剣道・前編

放課後・・

「「失礼します。」」

私と清隆は学校内の道場、武愛館(ぶあいかん)に入る。

「清隆、その娘は誰?」

静香が清隆に声をかけてくる。

「ああ、彼女は天夏美雪、今日、この学校に編入して来たんだ。ちなみに美雪は今日は剣道部の見学に。」

「よろしくね、天夏さん、私は葛木静香、清隆のお笹な馴染みで女子剣道部所属しているよ。」

静香が私に声をかけてくる。

私もそれに応じた。

「よろしくね、葛木さん。」

すると、少し遠くから声が聞こえてくる。

「おーい、宮野。早く着替えて来い。」

「はい、部長。すぐに着替えて来ます。」

そう言って清隆は更衣室に入っていった。


数分後・・

清隆は更衣室から出てきて、すぐに部内戦の説明が始まる。

「これから、部内戦を始める。いつもどおり男女混合、学年混合、で行う。試合は三分間、三本勝負。一審制。もう、トーナメント表を書いたので、それを掲示する。それに従ってトーナメントを行う。一試合目は五分後に行う。以上解散。」

皆、散らばり、体操を始める。

清隆も体操を始めている。私は清隆に話しかける。

「ねえ、清隆。あの人は誰?」

清隆は私の質問に答える。

「あの人はね、男子剣道部の部長。神山真(かみやままこと)先輩。去年の個人戦の全中ベスト8なんだ。」

「へえー、全国ベスト8すごいな。ねえ、清隆は試合とか出させてもらってるの?」

「うん、まあ、一年生の夏の大会から出させてもらってる。個人戦はベスト16。実は全中で神山部長に負けたんだよね。先輩だろうと関係ない、今日の部内戦では勝つ。」

私は清隆がすごい人なんだなあと思った。改めて見ると清隆は生き生きしていた。

やがて、時間になり、清隆は一試合目の対戦相手を確認する。

「えーと、一試合目は・・あった、なっ・・・」

清隆は言葉を失う。清隆の様子がおかしいので、私は声をかける。

「どうしたの?」

「いや、ただ対戦相手が僕の姉さんなんだ。義理のだけど。」

「清隆、姉さんいたの⁉」

「うん、まあね。驚いているのは一試合目で姉弟対決になることじゃなくって、去年、姉さんは全中に出場しているんだ。予選リーグ敗退だけど。いきなり全中出場者同士で戦うのはなんかおかしいと思ってさ。」

「はっはっは、驚いたか、宮野よ。」

神山部長が清隆に声をかける。

「はい、驚きました。でも、なんでこんな・・」

「それはな、何と無く強い奴同士で潰しあった方が後でおもしろいことになると思っただけさ。まあ、お前は負けるなよ、決勝で叩きのめしてやるから。はっはっは。」

神山部長は去っていった。すると、今度は別の声が聞こえた。

「キーくん、いきなりだね、お姉ちゃん、驚いちゃった。」

「その、姉さん、キーくんって、やめてくれない?」

「ええ〜!いいじゃない別に。」

清隆に声をかけて来たのは、ブロンドヘアーで青い瞳、笑顔の素敵な道着姿の先輩らしき人だった。

「あら、キーくんの隣にいるのは見学者かな?」

「はい。」

「好きなだけ、見て行ってね。あ、私は宮野清隆の義姉、宮野麗香。女子剣道部の部長をやっています。ちなみに私はイギリス人と日本人のクオーターよ。じゃあね、天夏さん、そして、キーくん。負けないからね。」

麗香は去っていった。

そして、一試合目が始まる。

試合上に防具をつけた清隆と麗香が蹲踞して試合上の中心にいる。周りでも試合をしているが、ここは特別に試合を見ている部員が多かった。

「始め‼」

審判をしている部員の声で試合が始まる。

清隆は、まっすぐ構えて隙のないはずの麗香に素早く小手を打つ。

「コテエエエエ!」

「小手アリ。」

審判が旗をあげる。清隆の小手打ちが決まり、清隆が一本決めた。

私はただ見とれていた。清隆の試合っぷりに。でも、今起きたことが理解できなかった。

「もしかして、今のに驚いてる?」

静香が声をかけてきた。静香は話を続ける。

「清隆は相手がどんなに隙のない構えをしていても、そのわずかな隙や本来、人にはわからないようなかすかな動きを見抜いて、そこを打つという鋭い観察眼の持ち主なんだ。それに清隆の竹刀の振りは単純に早いから。清隆の試合ではああいうことは日常茶飯事なんだよ。」

「へえーすごい。」

私は清隆がさらにすごい人だと思った。

「二本目始め‼」

試合が再開する。

今度は麗香が仕掛ける。

「メーン!」

清隆の竹刀を払って面を打つ。清隆以上に速い竹刀の振り。

姉さんの面、以前より速い!

だが、清隆もなんとか受け止める。

私はキーくんの姉さんなんだから、弟であるキーくんには負けられないよ。

麗香は面打ちの勢いで体当たりをして崩そうとする。

あまいな、姉さん。気合が入っているけど、これでおしまいだ。

清隆は麗香の体当たりを受け止めるのをやめて、半歩後ろに下がる。すると麗香のバランスが崩れ、前かがみになる。面はガラ空き。

「メエエエエン」

清隆は麗香の面を打ってそのまま下がる。

「面アリ。」

清隆の面が決まる。

「勝負アリ。」

清隆の勝利が決まった。

それから清隆はどんどん勝ち進み、とうとう決勝までいった。

「きたな、宮野よ。」

「はい、部長。今回は勝たせてもらいます。」

「生意気な、後輩だ。」

二人の間に火花が散る。


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