Can't forget memory(キャント フォゲット メモリー)・縁
私は職員室に入る。
「失礼します。」
私はすぐにある一人の青ジャージの男に声をかける。
「あの、武田孝次郎先生ですよね。」
男は無精髭をかきながらこっちを向いた。
「うん、いかにも!私が武田孝次郎だ。」
はっきりと自分の名を名乗ってきた。私は話を続ける。
「あの、私、今日から先生のクラスに編入することになったあま夏美雪です。」
「おお、よくきた。では、早速私のクラスの教室へ案内しよう。ついてこい。」
武田先生は走っていった。私もそれに何とかついて行く。
「はははは、ついてきているか」
「はい・・なんとか・・」
私は教室に行く前に疲れそうだった。
その頃、清隆は・・
清隆は教室に駆け込んだ。
「おお、清隆、遅刻か。珍しいな。安心しろ、武田先生はまだ来てない。」
清隆の親友にして、隣の席の金原剛が声をかける。
清隆もそれに反応する。
「良かったあ。ちょっとね、編入生に道案内してたんだ。」
「へ、編入生⁉男か女か!どっちだ。」
「・・・女だけど・・」
「女⁉おおー来たあー。」
剛は一人で盛り上がっている。
「・・・やけに食いつくなあ、剛。」
「何を言っているんだ、清隆、女子だぞ、女子。」
「お、おう・・」
清隆は剛のテンションについていけなかった。
すると、
ガラガラ・・
教室の扉が空いて担任の武田先生が入って来る。
「おおー、皆の衆、来ているか。今日は新しいクラスメイトを紹介するぞ。」
教室内がざわつく。剛が清隆の耳もとで話しかける。
「なあ、清隆、聞いてなかったけど、お前が道案内した女子編入生って、同じ学年か?」
「うん、まあ、そうだけど。」
「じゃあ、もしかして・・」
「ありえるな。」
本当に美雪がやってくるのかもな。
清隆はそう思った。
「さあ、入って来い。新しいクラスメイトよ。」
廊下から誰か入ってくる。
少々、ショートヘアー緑がかった髪、薄めの青い瞳、清隆が今朝道案内した女子編入生、天夏美雪だった。
私は教室に入ると後ろの方に清隆の姿が見えた。私は驚いて、
「「ええ〜!」」
といった。だが、驚いたのは私だけではなく、清隆もだそうで、二人の声は重なった。そんな様子を見ていた武田先生が
「おぬしら、知り合いだったのか。だったら、天夏、お前は清隆の隣だ。この学校のこと教えてもらえ。」
武田先生は剛の方を見る。
「ということで金原、お前、後ろの席に移動だ。」
「へいへい。」
剛は清隆の後ろの席に移動した。そして、清隆に声をかける。
「お前はいいよな、清隆。あんなかわいい娘と早く知り合いになれて、その上、隣にまでなれて羨ましいぜ。」
「相変わらずだな、お前も。」
清隆も言葉を返す。
「じゃあ、天夏、みんなに自己紹介しろ。」
武田先生にそう言われ、私は自己紹介をする。
「天夏美雪です。神奈川県からきました。皆さんよろしくお願いします。」
私が自己紹介を終えると、
「天夏、さっき、いった通り、お前の席は清隆の隣だ、いいな。」
武田先生がそういい、私はすぐに清隆の隣の席に移動する。
「美雪、本当に同じクラスになったな。君の言うとおり、僕たちこれから色々縁がありそうだ。改めてよろしく、美雪。」
清隆が声をかけてくる。私もそれに応じる。
「うん、よろしく、清隆。」
こうして、私のクラスは2-4に決まった。