Can't forget memory(キャント フォゲット メモリー)・魔法をだしに使うつもりはないよ。
私たちは学校へとたどり着く。
「じゃあな、美雪。同じクラスになったらよろしくな。」
清隆は教室に向かって走って行こうとする。
「待って・・」
私は清隆を引き止める。
「な、なに?僕も教室行かないと・・・」
「職員室、行かないとならないんだけど、場所がわからなくて・・・」
清隆は少し考えた。
「うん、いいよ。職員室行こうか。」
清隆は職員室に向かって歩き出した。私もそれについていった。
キーンコーンカーンコーン
予鈴がなる。
「無茶言ってごめんなさい、もう、ホームルームには間に合わないよね。」
「別にいいよ、そんなこと。どうせ、校門前の時点で間に合わなかったろうし。なんせ、僕のクラスの教室は三階だから。それにこっちは魔法のことを知られて弱みを握られている状態だし。」
私は清隆の言葉に少し微笑んでから言った。
「別に魔法のことをだしに使うつもりはないよ。学校まで連れて行ってもらったから、お互い様だよ。」
「え、本当に。僕だったら、魔法のことをだしに使って色々こき使うかな。」
「えっ・・清隆は逆の立場だったら、私を脅してこき使うの。」
「・・・やっぱりさっきのは取り消し。僕にはそんなことできないな。ましてや、こんなにかわいい女の子に・・」
私は清隆の言葉に顔を少し赤らめてしまった気がする。
「かわいい・・・ねえ、清隆。」
「うん?」
「放課後さ、部活動の見学したいんだけど・・案内してくれないかな、だめ?」
「・・うーん、今日はダメかな。部内戦があるし。」
「・・・」
私は子犬が餌を求めるような視線で清隆を見つめた。
「うぐっ・・うーん・・じゃあさ、美雪、剣道部の見学に来てくれないかな。剣道部は男女合同で練習しているから、女子剣道部の見学ができる。剣道やってみないか・・」
「うーん・・・剣道をするかはともかく、剣道部の見学にいくよ。」
こんな話をしているうちに職員室にたどり着く。
「じゃあね、清隆。」
「じゃあな、美雪、放課後な。」
キーンコーンカーンコーン
ホームルーム開始のチャイム。
清隆の遅刻が決定した。
清隆は全力疾走で教室へ向かって走っていった。