騒がしくも、愉快な昼休み
昼休み、学園内食堂にて。
清隆、エドガー、メアリー、静香の四人は一緒に昼食を食べていた。
清隆は海鮮丼を、エドガーは「激アツ激辛大盛カレー」を、メアリーはペペロンチーノを、静香は生姜焼き定食をそれぞれテーブルに並べていた。
この学園の食堂は、この学園には様々な国籍の生徒がくることから、様々な国の料理が食べれるようになっている。
「しかし、すごかったわ、清隆の意見。感動したわ。」
とメアリー。
「本当よね。」
と静香もメアリーに同意する。
「一体何の話だよ。」
と清隆。
「魔法理論の授業よ。」
とメアリー。
「ああ、あれね。別に本当のことをいっただけだけど。それにすごかったっていったら、僕はエドガーの意見発表の方が凄かったと思うけど。先生にあんなこというなんて、そうとう度胸あると思ったぞ、俺は。」
「そんなことないぞ。ぶるぶる。俺は別に言いたいこといっただけだぞ。ぶるぶる。」
エドガーは震えながら清隆の話に反応している。
「大丈夫か、エドガー。お前、震えてるぞ。」
「あのな〜清隆。俺は寒いんだ。」
「寒い?」
「ああ、そうだよ。魔法理論の授業で先生に凍らされただろ。体は解凍してるけど、凍らされた影響でまだ寒いんだよお。」
エドガーは死にそうな表情で清隆に訴えてきた。
「それでお前はこんな辛そうな物を頼んだのか。」
清隆はエドガーの前に置かれているカレーを指し示す。
「そうだよ、辛いものを食べて、温まろうと思って。」
「それはいいが、エドガー。お前、去年これに挑戦した時、一口目で死にそうになってたよな。大丈夫なのか。」
「清隆!その心配はいらない。俺だって、舌も魔法も去年とは違うさ。問題ない。」
「ふうーん、舌の方はともかく、エドガー、先日、杉並先輩と戦って、手も足も出なかったそうじゃないか。」
「それは・・いいんだよそれは。先輩なんだし。対等以上に戦えるお前の方が異常だよ、まったく。」
「・・・僕にはやらなくちゃいけないことがあるからね。」
しばらくの沈黙が訪れる。
ここにいる清隆以外の三人は清隆のやらなくちゃいけないこと、つまり、魔闘会で優勝して、守ることが出来ず亡くした恋人の最後の言葉を受け入れるという清隆が自分に与えた罰を実行したいとことを知っているため、暗い雰囲気になってしまったのだ。
「まあまあ、この話はやめましょう。ねっ!
それより、エドガー、早くそのカレー、食べてよ。」
メアリーが沈黙を断ち切る。
「お、おう!」
メアリーにあおられるようにエドガーはスプーンですくったカレーを口に運ぶ。すると、エドガーの顔が赤く染まる。
「辛い、辛い、助けてくれー」
エドガーは水も飲まず、食堂出て行ってしまった。
「大丈夫かな、エドガー君。」
「大丈夫よ、静香。いつものことだから。」
「成長してないじゃん、エドガーの奴。」
エドガーの姿を見届けた三人はそれぞれ、感想を口にする。こうして、騒がしくも、愉快な昼休みは終わったのだった。