念願の時
「優勝は・・イギリス代表、ソードダンサーズ!おめでとう!」
結果報告のアナウンスが流れる。観客席からも歓声が聞こえる。すると、メアリーたち、ソードダンサーズ応援部隊がやってくる。彼らは清隆を囲み清隆を持ち上げてきた。
「みんな、清隆を胴上げよ。」
清隆は空に放られて、宙に浮かびまたみんなのところへ落ちる。また、空に放られて、落ちる。これを5回ほど繰り返したあと降ろされる。
「やったな、清隆。特訓に付き合ってやったかいがあるってもんよ!」
「本当にありがとな、エドガー。エドガーが特訓に付き合ってくれなかったら勝てなかったかもしれない。」
「えへへ、それほどでもあるぜ。」
「調子に乗らない。」
照れて調子に乗り始めたエドガーにメアリー
のボディブローが炸裂する。
「エドガー・・・メアリー、そこまでしなくても・・・」
「わかってるでしょ、清隆。こいつは調子に乗らせると危ないのを・・」
「う、うん・・・」
「清隆、優勝おめでとう・・・これで清隆の願いが叶うね。」
メアリーは気絶したエドガーを担いでその場を去っていった。去っていくメアリーはなぜかどこかさみしそうだった。
閉会式終了後。
「ソードダンサーズの皆様、こちらへ。」
魔闘会の係員が清隆たちをある部屋に案内する。
「いよいよ・・・」
「やっと・・・」
「この時が・・」
清隆たちがたどり着いた部屋には三つの石が埋め込まれた壁があった。
「この石に手を置いて願いごとを心の中で念じてください。」
係員はそう言って去っていった。
まず、哲也が一つの石に手を置く。
「やっと、明日香を救える・・」
妹を・・明日香を・・儀式失敗による呪いから救ってほしい。
哲也が手を置いた石が光り、消滅する。
「・・・明日香は目を覚ましたのだろうか・・」
「妹さんのところへいってあげてください。きっと妹さんも待ってますよ。」
「宮野・・」
「そうだ、妹さんのことが気になるんだろ。いってこい。学園長には無断帰還なんとかなにかでいろいろ言われるかもしれないがどうにかしておくよ。」
「森園・・ありがとな二人とも。じゃあ、言ってくる。」
哲也は走り去っていった。
「巴さん、次、願い叶えちゃってください。」
「いやいや、私は特に大層な夢も願いもないから、清隆に二つとも願い、叶えちゃっていいぞ。」
「えっ、いいんですか?」
「ああ。」
「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」
清隆は壁に埋め込まれた石に向かって歩き出す。
美雪、やっと君に会える。再会に一年半もかかってしまったけど、今までも美雪、君を愛してると言える。けれど、僕は一年半前、君を守れなかった。もし、君がそのことを恨んでいるなら、君のその憎しみの言葉も受け止める。そして、僕は二度と君の前に現れない。だけど、できるなら僕は君にもう一度あって、学校通ったり、デートしたり、したい。
僕のわがままかもしれないけど。聞いてくれるならこんなに嬉しいことはもうないよ。
清隆は埋め込まれた石に手を置いた。
僕の大切な人・・美雪に・・天夏美雪を蘇らせてほしい。
石が光り、消滅する。