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魔法使いの争乱(マジシャンズ・パーティー)  作者: 星見 夜人
リボーン・ガールフレンド編
36/68

待ってくれている人がいるから

清隆の視界が漆黒に染まる。ケイネスも観客も見えない。

清隆は胸部の痛みをこらえながら立ち上がる。

「ふふふ、君の視力は僕が預かった。君になにができる?あきらめて降参しろ。」

「冗談じゃない。ここまで来て降参はあり得ない。」

「いいのかい?君も君の先輩、リック・ケイオス君のように観客に無様な醜態をさらすことになっても。」

「・・・それはどうかな。」

清隆は後ろに大きく下がる。そして、ケイネスの元に走り出す。

「無駄な足掻きを・・裁きの一撃(ジャッジメント)!」

ケイネスは手から魔法陣を展開させ、赤い光線を放つ。光線は清隆に向かっていく。

大丈夫、きっとこの攻撃を避けることができるはずだ。たとえ目が見えなくとも光線の気配と感じ取れる魔力、そして、微かな音。それらから光線や拳の位置を把握し、視力を補う。これがエドガーとの特訓で得たすべて。目が見えなくとも戦える戦い方。特訓に付き合ってくれたエドガーの行為を無駄にしないためにも僕はこの戦いに勝つんだ。

清隆は愛刀、夜空で光線を斬る。夜空専用魔法「魔法破壊魔法」の効果で光線は消滅する。

「まぐれだ、まぐれに決まってる。裁きの三つ(ジャッジメント・トライデント)!」

ケイネスは手から魔法陣を展開させ、赤、青、黄色の光線を清隆に向かって放つ。

「うおおおおお‼」

しかし、清隆は今回の光線も夜空で三つとも斬る。さらに清隆は二本の愛刀を肩の鞘にしまい、青龍の鞘を腰につけなおし、青龍の柄を握りながらケイネスのところへ走り出す。

今度こそ、今度こそ、この戦いを終わりにさせるんだ。宮野剣術応用技 ・流!

清隆は極限まで精神を落ち着かせ、青龍の剣先に魔力を集中させ、鞘から剣を抜き、そのままケイネスに斬りかかる。

スカ・・

清隆の攻撃は避けられる。

「裁きの一撃(ジャッジメント)‼」

ケイネスは手から光線を放つ。その光線は清隆の胸部に突き刺さる。

「うがっ、がはっ・・・」

清隆はそのままその場に倒れる。顔をあげると、目の前にいるケイネスと観客が見える。

清隆の視力が元に戻ったのだ。清隆はそれを確認すると、瞬間移動魔術でケイネスから離れる。

「・・・えっ・・」

清隆は握っていた青龍を落とす。そこで清隆は異変に気づく。両手の感覚がないこと、剣が握れない。

「ふふふ、驚いたかい。君には視力を奪うという方法が効かないみたいだから、今度は両手の痛覚を奪ってみたんだ。これでなにも出来ないだろう、宮野清隆!逃げるなんてことはせずにおとなしくこの攻撃を受けて終われ!裁きの終焉(ジャッジメント・フィナーレ)!」

七色の光線が清隆に襲いかかる。清隆は足元に魔法陣を展開させる。光線が清隆にぶつかる瞬間、清隆はその場から消え、すぐ近くに移動する。

「なぜ避ける、剣を握れないお前に勝機はないのに。」

「ああ、勝機はないね。」

「だったらなぜ。」

「それは・・それは・・この勝利の先に待ってくれている人がいるから‼」

待ってくれている、あいつが。美雪が。この勝利の向こうで。去年までは美雪が僕のことを恨んでいるとしか思えなかった。でも、本音では待っていてほしいと願っていたんだ。やっと気づいたこの想い。この想いを形にしたい。早く美雪に会いたい。だから、ここで屈するわけにはいかない。たとえ、剣が握れなくても。どうにかして勝つしかない。どんな方法でもいい、とにかく勝つんだ!

清隆は決意する。必ず勝つと。この逆境を跳ね返すと。

「ふふふ、どこまでもつかな、宮野清隆!裁きの終焉(ジャッジメント・フィナーレ)!」

再び七色の光線が清隆を襲う。

清隆は視力を補う戦い方、ケイネスの攻撃によるダメージ、序盤からの瞬間移動魔術の複数回使用によってかなり消耗していた。魔法を使えるのはあと三回。これが清隆の限界だ。

清隆は最初の一回をここで使う。

清隆は光線を避け、ケイネスの背後にまわり、魔力を集中させた蹴りをケイネスにくらわす。

「っ・・悪あがきを・・・裁きの・・(ジャッジメント)」

清隆はケイネスの攻撃を避けようとする。ここでこの攻撃をくらったら負けるというプレッシャーが清隆に二回目の魔法を使わせた。

終焉(フィナーレ)!」

七色の光線が放たれる。が、清隆にはあたらなかった。

清隆が魔法を使えるのはおそらく一回きり。

清隆は足元に落ちている愛刀、青龍をみる。

清隆はある可能性にかける。

青龍の専用魔法ブルーテンペストが手で握らずとも使える方法があることに。

剣を握れないなら、足で蹴って飛ばすだけ。答えてくれ、青龍。僕に力を貸してくれ。

「うおおおおお‼」

清隆は青龍を蹴り飛ばす。そして、青龍からは青き閃光が放たれる。

「な、なに⁉」

閃光はケイネスに向かっていく。だが・・

「止めればいいだけだ。君はすでに魔法を使えないようだ。これをとめれば僕の勝ちだな。」

ケイネスは閃光を止めようと光線を放とうとする。

くっそ、止められるこのままじゃ。魔力はからっぽ。何も出来ない・・・

いや、違う。魔力がからっぽなら作り出すまでだ。「魔法瞬間移動魔術(テレポート)」が発動できるぐらいの魔力を。

「うおおおおお‼」

清隆は閃光の前に魔法陣を展開させる。青き閃光は魔法陣に吸い込まれていく。

魔法瞬間移動魔術(テレポート)!」

清隆は魔法陣をケイネスの背後に展開し、青き閃光がそこから放たれる。

「ぐはっ・・」

ケイネスは倒れる。ケイネスに瀕死判定が出る。清隆の両手の感覚が戻った。清隆は力を使い果たしその場に座りこむ。

やった、やったんだ。優勝だ。これで美雪にまた会えるんだ。











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