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魔法使いの争乱(マジシャンズ・パーティー)  作者: 星見 夜人
リボーン・ガールフレンド編
30/68

巴に芽生える対抗心

清隆は朝起きて身仕度を整えて、個室の扉を開けると、何者かに手を掴まれ、宿の外に連れ出された。清隆はそこで解放される。

「おはよう、清隆。」

清隆を連れ出したのは巴だった。

「おはようございます、巴さん。いきなりなんですか。」

「清隆、これからデートしないか。」

「へっ?」

「だから、デートだって。私は知っているんだぞ。清隆、お前が葛木静香とデートをしたのを。」

「いや、あれは買い物に付き合っただけで、デートなんてしてませんよ。」

「清隆、そういうのをデートというんだ。しかし、不公平じゃないか。」

「何がです。」

「私と葛木、共に清隆に想いを寄せているどうし。なのに、葛木とはデートをし、私とはデートをしないなんて。」

「・・・」

「とにかくだ、清隆、私とデートしろ、異論は認めない。」

「・・・デートじゃなくて、ただの買い物になら付き合いますよ。」

「よし。」

「・・・っ⁉」

巴はいきなり清隆の腕に自分の腕を絡ませてきた巴の胸が清隆の腕に当たっている。


普段は着痩せしていてわからないがこの人、結構あるな。しかし、これは・・・

清隆はそんなことを思ったが、巴には伝わっておらず、

「よし、清隆、まずは朝食を食べにいくぞ。」

などと呑気なことを言っている。さすがに自分の理性とか、周囲の視線とか、いろいろ危ないのでとりあえず清隆は巴に指摘する。

「あ、あの、巴さん?僕の腕に胸が当たっているんですけど。」

「しょうがないさ。腕を絡ませているんだから。まあ、役得ということで勘弁してくれ。」

どうやら、巴は胸が当たっていることなどどうでもよいらしかった。

清隆は腕をほどくことを諦め、巴が歩き出す方向につられるように歩き出すのだった。この後、しばらく周囲の視線が痛かったのを清隆は覚えている。


イギリスエリア、とある喫茶店にて。

清隆はブレックファストセットA、巴はブレックファストセットBを注文し、それを食べながら、雑談していた。

「巴さん、どうしてデートになんて誘ってきたんですか。」

「それはさっきいっただろ。フェアじゃないからって。」

「静香と争うのもいいですけど、僕はは美雪を蘇らせるために戦っているわけで、あくまでも美雪一筋ですから。」

「あれ?清隆はその、美雪ちゃんだっけ?の最後の言葉を聞いて、けじめをつけるために戦っているじゃなかったの?」

「・・・アメリカ戦で二本の愛刀を失って窮地に立たされたとき、気づいたんですよ。もう一度、美雪と一緒の時間を過ごしたいんだって思っている自分に。」

「・・・うーん。魔闘会で清隆を優勝に導くのは約束だけど・・わざわざ自分で敵をふやすのはねえ。」

「なんか言いました?」

「いや、こっちの話さ。」

「それにしても、この喫茶店、何だかジャスティスに似てませんか。」

何だか巴が不機嫌そうな顔をし始めたので、清隆は話題を変える。

「ん~そうだな。なんせ、名前が「ジャスティン」だし、名前から察するにパクリなんじゃないか。」

「そんなことは・・ないとおもうなあ・・」

こうして、朝食から二人は盛り上がったのだった。


フランスエリア、ショッピングストリートにて。

巴はここについてから清隆が腰に着けているポーチを凝視している。

「巴さん、僕のポーチがどうかしましたか。」

「・・・予選大会のときとポーチが違うなあと思ってね。自分で買ったのか。」

「いいえ、静香に買ってもらったんですよ・・・」

清隆はしまったと思った。巴は静香に敵対心がある。ここで静香の名を出したことを清隆は後悔した。巴は不機嫌そうな顔になる。

「・・・清隆、私も清隆に何か買ってあげよう。」

巴は清隆の手を掴み、魔法道具専門店に入っていった。

もう、巴さんには静香への対抗心しかないな、これは。僕はあくまでも美雪一筋だというのにな。俺はこのままだと静香も巴もいずれ傷つけてしまうかもな。うーんどうしたらいいんだろうな。

と清隆は思った。

「さあ、清隆。この店のものから好きなものを選んでいいぞ。奢ってやる。」

まあ、いっか。今は巴さんのいうことを聞いてあげるかな。

「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

清隆は魔法耐性のあるナイフ十本セットを選んで巴に買ってもらった。

この後、清隆は巴に奢ってもらうばかりでは悪いと思ったので巴にも武器から服まで様々なものを奢った。本来なら両手を使っても持ちきれない量の荷物も収納量無限のポーチのおかげで、荷物を運ぶのも楽だった。

こうして、清隆と巴のデート、いや、買い物は終わった。







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