魔法に必要なもの
翌日。
清隆のクラスでは普通に授業が行われていた。
「皆さん、魔法にとって一番必要なものはなんだ。わかる人いるか。わかるものは手をあげろ。」
今の授業は魔法理論の授業で担当教師はイリア・カイロス先生だ。この女教師は口調には会わない可愛らしい顔で顔には合わない豊かな胸で服装も胸元がはだけている挑発的な格好で、独特の色気を出していて、男子生徒に人気のある先生である。
教室内にイリア先生の質問に手をあげるものはいなく、ただ教室には静けさだけがあった。
「ふむ、手をあげる者はいないか。じゃあ・・・葛木静香!答えてみろ‼」
「は、はいっ!」
静香は驚いたように立ち上がる。
「やっぱり、魔力だと思います。」
静香はさっきと違い落ち着いて意見を言って座る。
「うーん。」
イリア先生は静香の答えにイマイチ納得がいかないようだった。
「よーし、じゃあ、次はエドガー・バルチナス‼答えてみろ‼」
「はい。」
エドガーはイリア先生に指名され、静香と違い冷静に椅子から立ち上がる。
「 ん~魔力じゃないなら、僕にはわかりません。こんな難問を僕に答えさせることから間違っていると思います。こんな間違えをする教師にこんな難問を生徒に出す資格などありません。これが僕の意見です。」
エドガーは堂々と意見を言う。だが、教室内のは気まずい雰囲気が漂っていた。
「ほう、それが貴様の意見か。確かにそれはそれで正しいと思う。だが、エドガー、貴様は教師を甘く見過ぎだ。教師だからって、生徒に攻撃が出来ないと思って好き勝手バカにしやがって。貴様にはお仕置きが必要みたいだな。」
イリア先生は不気味な笑みを浮かべる。
「ひい~」
エドガーはその笑みに悲鳴をあげる。
「くらえ、エドガー。教師をバカにしたことを後悔させてやる。我に氷の力を、フローズンバレット‼」
イリア先生は右手で魔法陣を展開させ、エドガーに向かって氷の魔弾を放つ。そして、それはエドガーに直撃し、エドガーは凍りつく。
このことで一瞬にして教室の空気が重くなった。イリア先生も苛立っているようだった。清隆も次に指名される奴は辛いよな、なんてことを考えながら、他の生徒同様に緊張のあまり固まっていた。
「ふむ、どうしようか。」
イリア先生は教室内の生徒を一通り見回す。
教室内にさらなる緊張が走る。
「うーん、じゃあ、宮野清隆!魔法にとって一番必要なものは何か、答えてみろ‼」
「はい!」
清隆はイリア先生に指名され、緊張しているのを抑えながら立ち上がる。緊張ほぐしに辺りを見渡すとまわりのクラスメイトが、ドンマイと言いたそうな視線でこっちを見ている。清隆は余計に緊張してしまった。清隆は大きく息を吸い、イリア先生の質問に答える。
「僕は魔法に一番必要なものは強い意志だと思います。僕はある目的を果たすためにこの学園にやって来ました。この学園の入学試験に勝ち残るために魔法を一から覚えて、辛い修行にも耐えた。やはり、修行に耐えられたのは、目的を果たすという強い意志があったからだと思います。そして、入学試験に合格して、今、ここにいるのも強い意志があったからだと思います。きっと、強い意志が少なからず、魔法に影響を与えているんだと思うんです。少なくとも、僕はそう信じたいと思います。これが僕の意見です。」
清隆は意見をイリア先生にぶつけた。清隆が意見を言い終えたあと、イリア先生は拍手をした。
「なかなかいい答えじゃないか。私が求めていた答えはそれだよ、清隆!私も久しぶりに感動したよ。」
「ありがとうございます。」
「みんな、今日、私が伝えたいのは、さっき清隆がいったように、魔法は強い意志、強い想いによって強くなることだ。みんな、魔法を強くしたいなら、目標を見つけることだ。
そうすれば、自然と強い意志は生まれる。みんな、頑張れ。今日の授業はここまでだ。」
そう言って、イリア先生は教室を去っていった。