決勝に向かって走り出す三人
夜。清隆、巴、哲也の泊まっている宿のロビーにて。
「そうか、あのリック・ケイオスが・・一方的にやられるとは・・・ケイネス・ビチャノワ・・そんな奴がいたとは・・・五感のうちの一つを奪う魔法か、やっかいだな。」
哲也は清隆の報告に顔をしかめる。
「まあ、全力で戦うだけさ。」
巴はあまり不安を感じていないようだった。「そうですね。」
清隆は巴の言葉で自分の中にあった負けのイメージが吹っ飛ぶ気がしたのだった。
「とりあえず、今日のミーティングは終わりだ、各自、三日後の決勝に備えるように。解散!」
哲也の一声でミーティングは終了する。
ミーティング終了30分後。
清隆は・・
「すまないエドガー、こんな夜に呼び出してしまって。」
「いいってことよ、俺はソードダンサーズ応援部隊の一員だぜ。ソードダンサーズのメンバーであるお前の、いや友人の頼みだっていうんだぜ、聞かないわけないぜ。ところでこんなところで何をするつもりなんだ。」
清隆とエドガーは日本エリアの広場に来ていた。
「エドガー、お前に俺の対戦相手をしてもらいたいんだ。幸い、ここには生命保護魔法ホーリーフィールドもかけられているしな。」
「俺なんかでいいのか?」
「ああ。僕は目をつぶっても光速の攻撃を避けられるようになりたいんだ。」
「何のために。」
「次の対戦相手は相手の五感のうち一つを奪うことができるんだ。もちろん、視力もだ。
視力を奪われれば、僕の得意魔法はどちらも
視界の範囲という制限があり使えなくなるんだ。それに視力がなくなったら、相手に攻撃も相手の攻撃を避けることもできない。だから今から特訓して慣れようというわけさ。」
「なるほど、事情はわかった。なら、今すぐ始めようぜ。」
「話が早くて助かる。サンキュー、エドガー。」
清隆は目をつぶりつつ、肩から二本の愛刀を取り出す。
「メタモルフォーゼ、雷!」
エドガーの髪は金髪に染まり、右手に黒いガントレットが装備される。
「さあ、始めようぜ、清隆!」
「かかってこい、エドガー。」
こうして、清隆の特訓は始まった。
巴は・・・
「精霊剣技、奥義、虹!」
巴は七体の契約精霊を纏わせようとする。
シューン
しかし、纏わせた精霊は巴の刻印の中に戻ってしまう。
「くっ、うまくいかないか。」
巴は落胆し、アメリカエリアの広場で一人突っ立っていたのだった。
「まあ、そんな簡単に出来ないか。ははは、気長に頑張るしかないか。」
巴は宿に戻っていくのだった。
哲也は・・・
「この破片をここに埋めて、魔法で接着すれば、完成だ。」
ガチャガチャ・・
数分後・・
「出来たー」
ここは清隆たちの泊まっている宿。哲也はトルコ戦で壊れた相棒の2丁拳銃、スコーピオンを修復および改造していた。
新しい拳銃のボディーはメタリックブラック。形は以前より銃口が長くなっている。
「ふむ、我ながらいい出来だ。こいつの名前は「スコーピオンmkー2」と名付けよう。じゃあ、さっそく試し撃ちに行って来るか。哲也は以前、清隆がいったダンジョンへと向かったのだった。
それから、一時間。
清隆は・・・
「そこだ。」
清隆は光速で移動するエドガーを剣で捉える。
「おっと、なかなか対応できるようになってきたな、清隆。」
清隆の剣がエドガーの頬に傷をつける。
「だが、これはどうだ。雷神の鉄槌‼」
エドガーは清隆の後ろに回り、本気の拳を清隆の背中にぶつける。
「後ろか・・ぐはっ。」
清隆は動きに反応するも、対応が間に合わず、エドガーの拳をくらう。
「うーん、反応はできてるんだけどな、速さが足りないんだよな。清隆、少し休憩しないか。もしかしたら、速さが足りないのは疲れているからかもしれないし。」
「ああ、そうだな。」
二人は休憩に入った。
巴はすでに寝ていた。以上。
哲也は・・
ダンジョンの巨大魔獣と激闘を繰り広げていた。
ウガガガガガー
魔獣の口から炎が吐き出される。哲也もそれに対応し、攻撃をする。
「くらえ魔獣よ。mkー2専用魔法、Wバレット‼」
2丁拳銃から放たれる二つの光線は炎を貫いて、魔獣の顔面に直撃する。
ウガガガガガー
魔獣は怒っている様子。魔獣は二本の刀を取り出す。
ウガガー
魔獣は二本の刀を哲也に素早く振り下ろす。しかし、哲也は「全てを見通す眼」で軌道を読んでそれをよける。そして、哲也は2丁拳銃を二本の剣に変えて、魔獣に向かって走り出す。
ウガガガー
魔獣は哲也に向かって、刀から光線を出す。
しかし、哲也はそれを瞬時によけ、哲也最大の剣撃を魔獣に放つ。
「未来を断ち切る剣撃‼)
ウガガガ・・・
魔獣は魔力の塵になる。塵は哲也の魔力となって消えた。こうして、哲也はダンジョンの魔獣に勝利した。
決勝まであと3日。清隆たちの春の戦いももうすぐで終わる。三人はそれぞれの願いに向かって進んでいた。