静香のおまじない、 清隆の決意
それから清隆と静香は日本エリアを離れ、アメリカエリア、イタリアエリア、トルコエリア、ロシアエリアを歩いた。静香は買い物に付き合ってと言っていたが、結局、何も買っていない。そう、ウィンドウショッピングというやつだ。まあ、昼食は途中でとったのだが。
やがて、日も沈む頃となる。清隆と静香は最後にフランスエリアに寄る。フランスエリアに寄ると静香は迷わず、ある店に清隆の手を掴みながら入る。清隆も静香引っ張られる形で店に入る。すると、静香が店のとあるエリアに清隆を連れていく。連れてこられた場所には魔法武具がずらりと並べられていた。銃、剣、ハンマーの武器や、盾や鎧などの防具などがあった。でも清隆には疑問があった。なぜ静香は僕をここに連れてきたのだろうと。だが、その疑問はすぐ解決する。
「清隆、ここにあるものでほしいものある?」
「へっ?」
「いや、明日から本戦が始まるから、頑張っての意味を込めたプレゼントを一つ渡したくってね。」
「そうか、じゃあ、遠慮なく。」
「一つだけだよ。」
「わかっているよ。」
それから清隆は30分間迷い、とあるポーチを選択した。ベースがメタリックブラックで赤いラインが一本はいっている。
「じゃあ、これ買ってくるから。」
清隆が選んだポーチを静香が受け取って購入しにいった。清隆は店の外で待つことにした。
外で待つこと数分。静香が会計を済ませて店の外にやってきた。静香は外にいる清隆の姿を見つけ、清隆の元へやってくる。その手にはラッピングされた清隆が買ってもらったポーチと思われるものがあった。
「き、清隆。」
静香が清隆を呼ぶ。なぜか静香の顔が少し紅くなっている。静香は言葉を続ける。
「目をつぶって。」
「へっ?」
「いいから目をつぶって!」
清隆は静香の言うとおりに目をつぶる。
「・・・っ!」
清隆が目をつぶって数秒後、清隆は頬に柔らかい感触を感じた。思わず清隆は目をあける。静香の顔がさらに紅くなっている。この時清隆は確信した。自分は静香にキスをされたのだと。
「静香、今のは・・」
「清隆が本戦でも勝てるおまじないだよ。」
清隆はこの時、様々な感情がこみ上げてきた。
静香にキスをされたとき心が温かくなった。まるで自分の罪を消してくれるかのような開放感。でも、自分の罪は心から消えることはない。もし、美雪がこの光景を見ていたなら絶対に許さないだろう。恋人を守れなかった自分に恋をすることは許されないし、キスも同様だ。
しかし、清隆はこのことを受け止めつつ、辛いと思っていた。だが、清隆は気持ちを抑え込んである言葉を胸に刻んだ。
美雪を守れなかった僕に恋をする資格はないと。
清隆は気持ちを新たに静香とともに日本エリアへ帰った。