走る、走る、清隆!!
清隆は走る、走る、走る、心の傷を掻き消すかのように走る。走り疲れた清隆はある茶屋にたどり着く。日本エリアの「花鳥風月」という店だ。休憩がてらにその店に入る。店に入ると中は意外とファミレスに近いものがあった。「花鳥風月」という名のわりには畳の空間がない。そんなことを考えていると店員がやってきて
「いらしゃいませ、何名様ですか」
と言われたから、一人ですと答えようとしたら、こっちに向かって手を振ってくる人がいた。静香だった。静香がこっちに来いと言わんばかりに手を振るもんだから店員にあそこでいいですかと聞いて、静香の向かい側に座った。静香も一人だった。
「静香、お前一人のようだけど、誰か他に誘う相手はいなかったのかい。」
「何でそんなことを聞くの?」
「いや、女の子がさ、一人で茶屋にいるなんて珍しい光景だなと思って。」
「うーん、何人かに声をかけたんだけどね、みんな、和菓子は苦手だっていうからね、一人でもどうしても食べたい餡蜜があったからね、こうしてきているってわけ。」
そう言って静香は餡蜜を美味しそうに食べる。
「ふーん、うまそうだなその餡蜜、餡蜜一つください。」
清隆は静香が食べている餡蜜と同じものを注文する。
「ねえ、清隆。」
静香が餡蜜を食べるのをやめて、清隆に話しかける。
「もう大丈夫なの?」
「何が?」
「だって、さっき、清隆、アジトを辛そうに出ていったから、まだ、気分悪いんじゃないかと思って。」
「もう大丈夫だよ。心配させて悪かったな、静香。」
「じゃあ、心配させたお詫びにこれから買い物に付き合って。」
「いや、まだそういう気分じゃ・・」
「だって、もう大丈夫なんでしょ。だったらいいでしょ。」
清隆は本当に買い物なんて気分じゃなかったのだが、静香の押しに負け買い物に付き合うことになった。