あめのくに
詩のような、短編小説です。
今の世界の何百年も、何千年も後の世界が舞台。
どういうわけか、世界は雨が止まなくなってしまった。
しとしと、ぽちぽち。
雨は止まない。
しとしと、ぴたぴた。
繰り返す雨は止まない。
不思議な空間に包まれてるような、そんな雨。
そう、今日も雨は降る。
しとしと、ぽたぽた。
雨が止むことはない。
ここは、そういう国。
晴れという言葉は、太古の昔の言葉。
昔は晴れというものがあったらしい。
私は晴れを知らない。
この国の人も、晴れを知らない。
大陸の人も…。
けれど心までもが雨なわけじゃない。
毎日雨が降る。
雨は用水路を流れて、海へ着く。
海は危険。
海へ出ていって、帰ってきた人はいない。
太古の昔は、海を渡っていたらしいけど。
雨は今日も降り続ける。
いつまでも、終わることは無い。
私は雨が好き、なのかよくわからない。
毎日眺めてるもの。
外で遊ぶ時はコートを着る。
だって濡れるもの。
雨遊びは、子供の頃みんなやるよね。
雨は恵みの雨。
雨が無ければ作物は育たない。
雨水は栄養価が豊富に含まれているって、随分昔の研究者が見つけたんだっけ。
でも濾過しないと飲めないのよね、お腹壊すって。
私はこの大陸から出たことがない。
私の親も、その親の代も出たことがない。
ずっとずっと、雨が止まないまま。
海の真ん中では、神様がストレス発散のために大暴れしてるんだってね。
だから誰も帰ってこれない。
大昔は晴れてたんだってね。
だから海も渡れた。
晴れと、雨と、繰り返して。
私たちには想像がつかないな。
晴れって、どんな感じなのかしら。
絵本の中では七色に光っているけど。
よくわからない。
晴れたらいいなって思うコトも、あるけど。
でもやっぱり、怖い。
なんだろう、よくわからないけど 怖い。
やっぱり、今の生活のままでいいや。
海の向こう、何があるんだろう。
梅雨の今の時期と掛け合わせてみました。
永遠の梅雨、明けるのことの無い雲。
感想、お待ちしてます(苦笑)