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3/3

恋人

花火大会の次の日、補習も終わったので、僕たちはいつもの喫茶店に集合した。

「お前ら、卑怯やぞ!昨日、俺と山野さんを撒いたやろ!」中川は周りに聞こえる程大きな声で叫んだ。その筋の人がこっちを見る。僕たちは声を出さずに、すいませんと口を動かし会釈した。

「ふたりが俺らを無視して、どんどん進んでいくから逸れたんやん」

僕は作戦のことを隠した。

「そうやそうや。ほんでお前らどうなったんや?」

徳井が呟くように言った。

「俺、山野さんと付き合うことになった。告られたから。山野さんが俺のこと好きなんて思ってなかったな。即OKしたわ」

「まじかよ!作戦大成功!」

徳井は口を滑らせた。

「やっぱり撒いたのは、作戦やったんかよ。でお前らはダブルデートしたんか?」

「いや、俺と章ちゃんも逸れてしまって。」

「そうなんかよ!それでそれで?」

中川のテンションがウザい。

「俺は安本さんとふたりで花火観て帰ったわ」

「章ちゃんもか?」

僕はエスプレッソコーヒーを一口飲み、答えた。

「俺は、寺井さんと、付き合うことになった」

中川と徳井は驚いた。

「章ちゃんも告られたんか?」

「いや、俺から告った。」

中川と徳井は顔を見合わせ、きょとんとしている。

「章ちゃん寺井さんのこと、好きやったんや」

中川が意外そうな顔で言う。

「いや、正直好きとかそんなんじゃなかったけど、その時の雰囲気というか、ノリで」

僕は後ろめたい気持ちで小声になった。

「ノリかあ。章ちゃんらしいな。付き合ってから好きになることもあるからな」

徳井は理解がある。僕と同じことを思っている。

「章ちゃん、責任持って付き合えよ。寺井さんのこと大切にしてあげろよ」

中川はこういうことには妙に真面目だ。眉間にシワを寄せ、僕の目をじっと見つめている。

「うん、俺、寺井さんのこと幸せにする。中川も山野さんのこと、幸せにしてあげろよ」

僕と中川は、握手した。元野球部の中川の握力はとても強かった。

「俺も安本さんに告ったらよかったな」

徳井がしかめっ面で言う。

「徳井も安本さんに告れよ!3対3でデートしたらええやん!なあ、章ちゃん!」

「そやそや、徳井と安本さんもお似合いやぞ」

勝手なことを言う。僕と中川は余裕なテンションなので徳井がかわいそうだ。

「まあ、考えとくわ」

徳井はセブンスターの煙を目で追いながら呟いた。


「俺ら、勉強しなあかんな。受験勉強。一学期の成績は最悪やったし、模試の点数もガタ落ちやし。このままやったら、浪人確定やぞ」

中川が急に真面目なことを言いだした。彼女ができたことで、焦ったのだろうか?


丸い窓からは、雑多なネオンの光が差し込み、薄暗い電球が灯された店内を明るく照らす。

僕たちはネオンの光から、離脱しなければいけないことをわかりかけていた。




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