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EP18.中間試験IV-VS森の愉快な動物たち後編

フレイア・エテルファルシア:(15)

ノイン・メイヴィア:(15)

ロゼッタ・ホークリング:(15)

ミレイユ・カーテイラ:(15)

クレストール・リヒテンタルト:(44)

「ロゼッタ! あいつらの動きを止めるよ。できない……なんて言わないよね?」


「もちろん、そんなことありえませんわ! 皆さん、閃光弾の発射後は、すぐに目を閉じてくださいね!」


「魔物たちの動きが止まったらノインはこっちに戻ってきて!」


「う、うん……!」


 これでまずはノインに戻ってきてもらい、体勢を整える。

 反撃はそれからだ。


「もう一度……ロゼッタに≪祝福≫を!」


 私の言葉を合図に、ロゼッタの構える魔法機銃が白き炎に包まれる。

 それを確認したロゼッタがシリンダーマガジンを回転させ、別の魔法弾を装填した。


「さあ、私の輝きにひれ伏しなさい!」


 上に向けて構えられた魔法機銃から大きめの魔法弾が一発だけ発射されたのを確認して、目を閉じる。

 するとすぐに炸裂音が響き、周囲が閃光で包まれた。

 魔物たちの威嚇が聞こえ、目を開くとすでに閃光弾の光は収まっており、視界を奪われた魔物たちは身を守るように腕を振り回していた。


「ノインは!?」


「こ、ここにいる……」


 声の方向に振り向くと息を切らしたノインが地面に膝をついていた。

 強大な魔物二体を相手によくやってくれた。

 だが、もう少しだけ頑張ってもらう必要がある。

 戦いが終わったら、その功を存分に労ってあげよう。


「ノイン、疲れてるとこ悪いんだけど、もう少し頑張ってもらうから。タイミングを作って消耗してるブリッツベア……あいつに集中攻撃を仕掛けて倒す。みんなも0Pじゃ、帰れないでしょ!」


「フ、フレイアの鬼……悪魔……」


「もちろんですわ! 三体とも狩りたいところですが……」


「……厳しいもんね。フレイアの言う通り、欲張るのは危険かも」


 私の作戦にミレイユも賛同してくれて、他の二人も頷いてくれた。

 これで反撃に移ることができるが、問題はどうやって集中攻撃を仕掛けるタイミングを作るかだ。

 ロゼッタの閃光弾はすでに一度使用した。ブリッツベアだけならまだしも、知能の高いエンシェント・エイプ相手に二度目が通じるとは思えない。

 だから、別の方法でタイミングを作らなければならないのだ。

 だが、その方法が思いつかない……。


「わ、私にいい考えがある……。わ、私が魔法陣で強力な魔法を発動する……。フ、フレイアが強化してくれたらそれで止めを刺せるはず……! だ、だから15秒……それだけ稼いでほしい……!」


「ノイン……でもそれじゃあ、ロゼッタとミレイユ二人で三体の相手をしなきゃいけなくなって……」


「フ、フレイアがなんとかして……! こ、これはフレイアが決めた事……!」


 そうだ、これは私が決めた事だ。

 皆も同じことを考えていたとはいえ、最終的な判断を下したのが私であることには変わりない。

 ノインに言われるのも癪に障る。

 いいだろう、やってやろうではないか。


「いえ、私たちは二人でもなんとかして……」


「いいよ、ロゼッタ。私がなんとかする。その代わりにノイン、ちゃんと止めを刺せなかったら……わかってるよね?」


「い、一週間フレイアの椅子になってもいい……!」


 ああ言いはしたが、ノインがしくじることはないと知っている。

 だから、ノインの提案した作戦にも乗るのだ。

 ……そろそろ閃光弾の効果が切れる時間……それでいこう。


「……決まり。ロゼッタ、ミレイユ、私を援護して!」


「フレイアが言うのでしたら信じましょう!」


「うん、、私も信じる!」


 私が最前に立ち、その後ろをロゼッタとミレイユが固める、最後衛はノインだ。

 まさか最前と最後が入れ替わるとは思いもしなかった。

 私は三角盾(カイトシールド)を前面に構え、魔物たちの攻撃に備える。


「いくよ! 私とノインに≪祝福≫を……!」


 ≪祝福≫の白い炎が私の三角盾(カイトシールド)とノインの短杖を包み込む。

 そして、三角盾(カイトシールド)標準魔法(プリセット)を発動する。


「≪防御(プロテクト)≫……最大出力……!」


 私たちを包み込むように巨大な半円状のバリアが形成される。

 それを確認したノインが今度は動く。


「魔法陣……展開……!」


 ノインを中心に魔法陣が展開される。

 それは周囲の魔力を集めて、どんどん大きくなり、輝きを増す。

 そして、ついに閃光弾の効果が切れ、三体の魔物がこちらに向かってきた。

 今から15秒……耐えれば私たちの勝ちだ……!

「来ましたわ! ミレイユ、露払いは私たちの仕事ですわ!」


「うん! ロゼッタ、二人にだけいいところ持って行かせないようにね!」


 私が≪防御(プロテクト)≫で展開したバリアを破壊しようと、二体のブリッツベアは剛腕を振り回し、エンシェント・エイプは土塊を飛ばす魔法で攻撃してくる。

 それに対し、ロゼッタとミレイユがそれぞれ魔法機銃と水の魔法で迎撃するが、三体の魔物相手ではやはり、全ての攻撃を迎撃することは不可能。

 迎撃しきれない攻撃がバリアを削り、私の魔力消費を加速させる。


「ノイン、あとどれぐらい!?」


「……7……8……」


 数を数えながら魔法の発動に集中しているノイン。

 カウントはまだ半分……このままでは私の魔力が先に尽き、バリアが消失してしまう。

 このままでは……不味い!?


「私の魔力が尽きても……支えてみせましょう!」


「ロゼッタ!?」


 状況を悪いと悟ったロゼッタがバリアのギリギリまで進み出た。

 バリアが破壊されればブリッツベアに一瞬で叩き潰される距離、再びシリンダーマガジンを回転させ別の魔法弾を装填したロゼッタ。

 魔法機銃の引き金が引かれ、嵐のような魔法散弾が放たれる。

 縦横無尽に襲い来る散弾に、三体の魔物は一瞬ひるむがすぐに攻撃を再開する。


「次は私が! ≪水写し≫!」


「ミレイユも!?」


 ロゼッタが作った一瞬の隙に、今度はミレイユが前に飛び出した。

 ≪水写し≫の魔法で自分自身の姿を水で写し取り、その通りに水を集めて分身を作り出す。

 そのままバリアの範囲をも飛び出して、二体のブリッツベアに自身と分身で超近接戦(インファイト)を挑んだ。

 エンシェント・エイプの魔法はロゼッタが散弾で全て撃ち落とし、ブリッツベアはミレイユが超近接戦(インファイト)で足止めをする。

 これならノインを守るためのバリアは十分にもつ。

 あとはノインの一撃を待つのみだ。


「……14……15! みんな下がって!」


 ノインの合図で前に出ていた二人がすぐに後ろに飛び下がる。

 いつの間にか私の足元までも広がっていた巨大な魔法陣が最大の輝きを放つ。


「――≪結晶槍(クリスタル・ランス)≫……!」


 魔法の発動と共に二体のブリッツベアの足元が輝き、地面から巨大な結晶(クリスタル)が隆起し、ブリッツベアを頭まで刺し貫いた。

 そのまま二体のブリッツベアは断末魔を上げる間もなく絶命した。

 それを見たエンシェント・エイプは危険だと判断したのか、すぐに森の奥に撤退していった。


「や、やったの……? 私たち……」


 魔力切れと戦いの緊張が解けたのか皆、その場に座り込んでいた。


「ぜ、全部私がやりました……!」


「なっ!? 私たちの援護がなければ倒せてはいませんわ!」


「うんうん、流石に全部は盛りすぎかな……頑張ってくれたのはそうだけどさ」


「ちょっと皆、まだ他の魔物が近くにいるかもしれないんだよ?」


 まったく皆、気を緩めるのが早すぎる。

 エンシェント・エイプも撤退したとはいえ、直前まで戦っていたのだ。

 騒ぎに寄ってくる他の魔物がいないとも限らないのだから。


「安心していい、近くに他の魔物の気配はない。戦いは終わりだ」


「えっ、先生そんなこと言っていいんですか!?」


 なんと生徒を見守る立場であるはずのクレストール先生が周囲の状況を教えてくれた。

 これでは公平であるはずの試験に問題があるのではないだろうか?


「これぐらいであれば問題あるまい。お前たちはよくやったよ」


 先生の言葉に私たちは互いを見回して笑った。

 もう魔力も元気も残っていないので、これで中間試験初日の狩りはお終いだ。

 あとは宿に戻って英気を養うのみだ。

話の設定が固まってきたので最初に投稿してた話を改稿していきたいかも。

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