EP16.中間試験II-作戦会議
フレイア・エテルファルシア:(15)
ノイン・メイヴィア:(15)
ロゼッタ・ホークリング:(15)
ミレイユ・カーテイラ:(15)
クレストール・リヒテンタルト:(44)
前期中間試験初日のホームルーム。
入学してから初めての実技試験になるため、教室の空気がいつもよりもピリピリとしている。
いつもは私にばかり熱烈な視線を送ってくるクレストール先生も、今日ばかりはクラスメイト全員の顔をしっかりと見回している。
「手元に配られたプリントには今回の試験配点が書かれている。それによく目を通し、計画的に魔物狩りを行うこと。最終日までに10P集められなかった者は赤点及び、追試となる。それでは各自パートナーと共に試験開始すること。以上」
クレストール先生の合図ですぐに教室を出て行く者たち、パートナーの元に集まりもう一度事前の計画とプリントを確認する者たち、他のクラスメイトの出方を窺う者たち。皆それぞれに試験を開始した。
とりあえず私は、手元のプリントをもう一度確認する。
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○前期中間試験配点表
前期中間試験の配点を、下記の通り記す。
配点については例年通りとなり、変更はない。
1P……ランクDモンスター
2P……ランクD+モンスター
3P……ランクC-モンスター
4P……ランクCモンスター
5P……ランクC+モンスター
10P……ランクBモンスター
20P……ランクA以上モンスター
※ランクB以上を狩る予定のパーティは事前に教師陣に報告を行うこと。
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「ダメですわよ、フレイア」
「うえっ!? な、何が?」
私の席で話すことが多いため皆が集まってくることは思っていたが、いきなり背後から低い声でロゼッタにダメだなんて、言われては驚いて飛び上がってしまう。
すでにノインとミレイユも私の席に集まってきていた。
しかし、私は何も言っていないのに、ロゼッタは何をダメだと言っているのか。
「フ、フレイア……ラ、ランクBを一日一体倒せば三日は休めるなって顔してた」
「パーティを組んでるからってランクBは流石に無理だと思うんだけど……」
いやいや……だからノインはエスパーなの? 私の考えていたことを言ってくれるな!
じ、実際に狩るわけじゃないし、少し考えていただけだから……ミレイユが厳しいと言うなら、なおさらランクBを狩ろうとなんて思わない……よ。
「……ご、5Pの魔物――ランクC+ってどんなのがいたかなーって考え込んでただけだし!? ……10Pとかそもそも眼中になかったし!?」
「……では、どの魔物を狩るか決めましょう。フレイアはどの魔物を想定していたのですか?」
ロゼッタめ、ちゃんと試験のことを考えていたのに、そんな疑いの目で私を見て酷いではないか。
「えっ、えっとおぅ? ワ、ワイバーンってどれぐらいのランクだっけなー?」
「ラ、ランクB……」
「じゃ、じゃあ、えー、グリフォンとかってどうだったかなー?」
「ラ、ランクB-……」
「あ、あははは……、ガ、ガーゴイルとか楽勝かもよ!?」
「ガーゴイルはランクAだよ……フレイア……」
「まあ、フレイアですものね。そんなことだと思いましたわ」
フレイアですものねってなんですか!?
それではいつも私がそんなことを考えているみたいではないか。
友達になったばかりのミレイユもいるのだから粗探しとかしないで、最初だけでいいから理知的だと思われたいのに!
「か、狩りに行くま、魔物は私たち前衛組が決める……フ、フレイアは腕立てでもしてて……」
「まあまあ、初めての試験なんだししょうがないよ。ね、フレイア?」
「そうそう! 私一人で後衛大丈夫かなって不安になっちゃって……ミレイユ慰めて?」
「えっ、ええっ? もう、仕方ないなあ……」
仕方なくでも撫でてくれるミレイユ好き。大好き。結婚しよ?
ノインは私の両腕の状態を知っていて腕立てなんて言ったのだから、復讐ポイントが貯まったら覚悟するがいい……ちなみに今は2ポイントだからね。
「では、ノインはどの魔物がいいと思いますか?」
「え、遠距離攻撃をしてくる敵はか、攪乱しても効果が薄い……。き、近距離型の敵がいいと思う……」
「なるほど、遠距離攻撃で足手まといを狙われたら攻撃に集中できませんものね」
「おーい、足手まといって誰かなー?」
「う、うん……だから、ブリッツベアとかいいと思う……。大きくてタフだけど、遠距離攻撃はしてこないだろうし、狙いやすい……!」
「いいですわね。賛成しますわ」
「うん、いいかも!」
あ、あれ!? ミレイユもさり気に無視しなかった? 気のせいだよね? ね?
ブリッツベアは、体長3メートルを優に超える巨体を持つ大熊だ。
剛腕から繰り出される攻撃は大木を易々となぎ倒し、また鋭い爪も侮れない。
しかし、巨体であるが故に動きはそこまで早くなく、狙いもつけやすい。
一撃でも攻撃をもらえば再起不能の攻撃力の高さからランクC+に分類されているため、その攻撃にさえ注意すれば比較的楽な相手といえるだろう。
「いかがでしょう、フレイア?」
「うーん、死ぬとしたらノインだけだしいいんじゃない?」
「し、死んだら……な、泣いてくれる……?」
「抱きしめて泣いてあげよう」
「ま、任せて……!」
「い、いいんだそれで……」
しまった、ノインのノリに付き合っていたらミレイユに引かれてしまったではないか。
まあ、その実ノインの実力はアレクシアの修行でかなり把握できているので、安心して任せられると思うからこそ冗談を言えるのだ。
なんなら毎日、大熊より強いアレクシアを相手にしているのだからなおのことだ。
「ブリッツベアに決まったのでしたら場所は……西の森テルミナ。他に当たりを付けるなら……トライヘッドスネークがランクC+になりますが……」
「く、熊とは対極……へ、蛇は素早くて厄介……」
トライヘッドスネーク……その名のとおり三つ首の蛇。
ブリッツベアほどではないがそれなりの体長であり、何より伸縮自在の首が三つというのが厄介。
その牙には麻痺毒を持ち噛みつかれれば時間と共に体の自由を奪われる。
じりじりと獲物を追い詰めながら戦う大蛇である。
「解毒薬買っていくか、≪解毒≫の魔法使える人っている?」
「つ、使える……!」
「私も使えるよ!」
ノインにミレイユ、敵の毒に二人も対応できるのは非常にありがたい。
わざわざ解毒薬を買いに行く必要がないのもいい。
「後衛の方が使えるのが一番良かったんですけど……」
それは言わない約束だろう。
それを承知であなたたちは私と組んだのだから。
断固として私は悪くないと言わせてもらう。
「まあ、これでなんとかなりそうなのはわかったね。……出逢わないのが一番だけど」
「そうもいきません。ブリッツベアだけで8体も出逢えるなんてことは余程の強運でもないと……そもそも私たちが考えているということは、他の方たちも考えているでしょうし……」
「う、うん……」
「それがあるから試験開始で飛び出していく人たちの気持ちもわかるんだよね……」
あらかじめ十分に準備を済ませスタートダッシュをするのも計画だし、冷静に状況を判断できるかも試験の一部、週の後半になれば狩りやすい魔物も少なくなる、それらも含めての中間試験なのだろう。
しかし、それ以外にも何かを忘れている気がする。
何かが引っかかっているのに、思い出せない。
それが特に重要なことでなければいいが、試験は思っていた以上に厳しいものとなりそうだ。
文章量少なめの投稿……シテ……ユルシテ……
ニャ、ニャオハ……さん!?




