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黒猫亭の雨の来訪者

作者: フィル

この物語は、後を考えずに作られています。

意味が分からない描写があります。


一部訂正しました。


軽い気持ちで読んでいってください。

「突然だけど、君は時間を越えて人の人生を見てみたいかい」

 どこからか、声が聞こえてくる。前を見ると、白髪の少年がこちらを見ていた。見た目は十五歳ぐらいだろうか。

「ほら、質問に答えてよ。人の観察なんてしないでさ」

 心を読めるのかと思ったが、おそらくじろじろと見ていたのが気に障ったのだろう。おとなしく、「見てみたい」と、答えることにした。少年は満足したらしく、笑顔を浮かべて

「じゃあ、とある少年の奇妙な旅をみせてあげるよ」

 その声を最後に、少年は消えてしまった。が、かわりに別の声が聞こえ始めた…


  ザー パッチャ パッチャ パッチャ

 あの日は、酷い雨の日だった。

「はぁ…まさか、傘が折れちゃうなんて。それに、学校の傘はボロボロだし、最近ついてないな…」

 僕はいつも通りに真っ直ぐ家に帰ろうと思ったが、今日はそんな気分にはなれなかった。そんな帰り道、急に目の前を黒い塊が横切って行った。

  ニャー ニャー

「いっ今通ったのは、ねっ猫かな」

  ニャー ニャー

 黒い猫は、僕の方を向いて何度も鳴いていた。そして、クルリと背を向けてゆっくりと、ビルとビルの隙間を歩いていった。まるで、「ついて来い」と言っているようだった。

  チャ チャ チャ

「あっ待って」

 僕は歩いていった黒い猫を追いかけ、ビルとビルの隙間へ入っていった。そばの看板に気付かずに。


  ハァ ハァ ハァ

 暗い隙間に、呼吸の音だけが響く。しばらくすると、突然壁が現れた。

(いきどまり…違う、扉だ)

 目の前に現れた扉には、薄く『―――の黒猫亭』と書かれていた。そっと、扉を開き隙間から中を覗くと、僕は動けなくなった。いや、正しくは何もできなかったのだ。

  シャー シャー

 その扉の先には、たくさんの黒い猫が鋭い目付きで、僕を睨んでいた。しばらくすると、黒い猫の中から一人の女の人がでてきた。女の人は、僕を見て。

「ようこそ、黒猫亭へ。そして、どうしてここへ」

「あっ、えっと、黒い猫を追いかけて来たらここに着いたんです」

 女の人は、少し驚き、視線をさげた。

「…そう。あなたは、自分への不幸は無くなってしまえばいいと思ったことはあるかしら」

 その言い方はまるで、僕に起こる不幸を知っているかのような言い方だった。僕はとっさに、

「そう、思います。最近ずっとついてないんです」

 と、答えてしまった。すると、女の人は少し考えてから一つ聞いてきた。

「なら、あなたの不幸をすべて消してあげる」

「ほっ本当ですか。お願いします」

 そして、女の人は怪しく笑い、僕の目を隠し

「じゃあ、未来永劫あなたの不幸はすべて頂くわ」

 と、言った。そして、僕の前から姿を消した…いや、僕は世界から消えた。


「あれ、お姉さん。どこに行ったんだろう」

 周りが見えるようになると、さっきまでいた黒い猫や女の人が、居なくなっていることに気づいた。

「誰かいませんか。誰かぁ」

 どんなに叫んでも、僕の声が壁に響くだけだった。

(いっ家に帰ろうかな。おっお母さんがいるはずだから)

 急に怖くなった僕は、走って家まで帰っていった。家に帰る道はいつも、多くの人が歩いているが、誰もいなかった。家の扉にたどり着き鍵を開けようとすると。

  ギィー ガチャン

 と、音を立てて勝手に開いてしまった。おそるおそる中に入り、力いっぱい僕は叫んだ。

「ただいま。お母さん」

 いつもなら、明るく帰ってくる声は聞こえず、僕の声がただ響くだけだった。

「お母さん、どこにいるの。隠れないでよ」

  カチッ カチッ カチッ

 いつもの時計の音が、とても恐ろしく聞こえ、一秒がとても長く感じた。

(これは、夢だ。夢に決まってる。次に目が覚めたら、お母さんとお父さんが家にいるんだ)

 僕は、そう思い布団に包まり寝ることにした。少しでも恐怖を紛らかすように。


  カチッ カチッ カチッ

 時計の針は進み続けていた。結局、家には誰も来なかった。

  カチッ カチッ カチッ

 そんなとき、時計の針以外の音が聞こえてきた。

  シャラン 雨と僕らはやってくる 

         黒い風となってやってくる

「なっなに、誰かいるの」

 急いで外へ出てみたが、やはり誰もいなかった。しかし、音はずっと聞こえていた。

  シャラシャラン 人を導き 望みを叶える

         気に入るかはしらないな

「この声は、黒猫亭の方から聞こえてる…行くしかないかな」


 黒猫亭へ行く間にも、声はずっと聞こえていた。その声は、今の僕の状況を歌っているようだった。

「あとは、この隙間を通るだけ」

 そのとき、遠くの方で鐘の音が鳴り響いた。そして、隙間から黒い風が突然吹いてきた。

「うわぁー。これは、猫の大群」

  ウミャー ウミャー ウミャー

 猫たちは、我先にと勢いよく走って行き山の神社へ向かっていた。それを僕は、慌てて追いかけた。その先にこの状況どうにかする方法があると思って。


 山の神社には、物事を引き寄せ繋ぐ神様がいると僕は、聞いたことがある。なぜ、猫たちがそこに向かっているのかはしらないけれど、もしかしたら…もしかしたらまた、お母さんとお父さんに会えるようになるかもしれない。

「ハァ…ハァ…やっと着いた。猫たちはどこに行ったんだろう」

 そのと――


「はいストップ」

 突然、白髪の少年が現れ、急に大声を出した。

「ここまで、見てみてどうだった。感想を教えてよ」

 まだ途中なのに感想を求められてしまったが、少し考えて「少年はかわいそう」と、答えた。少年は、うんうんと、首を振り、二カッと、笑った。

「そうかそうか、君はそういう風に思ったんだね。なら」

 そう言い残して、少年はまた消えてしまった。


 ―――き、前に人の気配を感じ、前を見てみた。そこには、十五歳ぐらいの白髪の少年がいた。その少年は僕を見ながらいった。

「君をもとの世界に戻してあげるよ」

 と言ってきた。僕はおもわず

「本当に…ありがとう。でも、どうして」

 と聞いてみた。少年は、すぐにその質問に答えてくれた。

「それは、あの―――様が、かわいそうといったからね。あの人は、ハッピーエンドも好きだからね」

 どういうことかは分からなかったけど、これで戻れると思ったとき、僕は前が見えなくなった。


「あら、もう戻ってきたのね」

 気が付くと黒猫亭の女の人が目の前にいた。

「ここは…それより、さっきのは何ですか。不幸をなくしてくれなかったんですか」

 すると、女の人が怪しく笑い話し出した。

「えぇ、あなたの不幸…人生を生きる理由をなくしたのよ。だから、誰もいない障害のない所に送ったの」

「でもそれは、幸せも無くなっていたけど」

「そうよ。そもそも、不幸は幸福があるから感じるものよ。不幸だけがないなんて、都合のいいものはないのよ。この何気ない一日を、これからは大切にしなさい」

 そう、女の人は言うと扉を指さし、

「もう、帰る時間よ。今日のふつうの黒猫亭は、おしまい。さぁ帰った帰った」

 といって、僕を外へ押し出した。

  ガチャン

 僕はお礼を言おうと後ろを振り向くと、そこにはただの壁があるだけだった。僕は心の中で感謝しながら、家に向かって走っていった。もう、雨はやんでいた。

「ただいまー」


 声が聞こえなくなった。おそらく、あの少年の一日が終わったのだろう。

「うーん。どうだった少年の一日は」

 少年の一日…それは、とても不思議なものだった。そして、不幸と幸福を知り、日常がどれだけいいかを知ることができる話だった。

「君にとっては、もう聞いたことがあるような話かもしれないけれど…僕はいい話だと思うんだ」

 どこか遠くを見ながら話す少年は、どこか寂しそうな表情だ。

「まぁ、今日はありがとね―――様」

 その言葉を最後に、少年は去っていった。


 それを見届けると、また眠りにつくことにした…


…まぁ、こんな物か。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 初投稿お疲れ様です。最後に言いたいことがあって、そのために文章を書いてきたと分かります。普通に読みやすい文章でした。
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