「名実ともに」⑤
過去(路地裏)
足を撃ち抜かれた男が路地裏に追い詰められていた
戦友だった男「ハァ、ハァ」
それがその男とXの5年ぶりの再会だった
戦友「…久しぶりだなX」
X「…」
戦友「なぁ、教えてくれよX」
戦友「あの戦争にはどんな意味があった?」
X「…」
X「あいつらは、無駄死にじゃない」
戦友「…ッフ」
男は自虐的に笑う
戦友「なあ、X今この国じゃあ汚い仕事に就くしかできることがなくなっている」
戦友「俺にも別の選択肢があればな…」
現代
M「?」
MがXの額をつつく
X「!」
M「夢から覚めた?」
瓦礫の散乱する酒場でXは目を覚ます
X「ああ…」
M「…」
その雑多な廃墟街は当然
人の出入りが全くなくX達の仮拠点になっていた
その街の小さな酒場を占領したX達は
東に向けて、車で移動しようとしている最中たった
X「そっちの眠り姫はどうなっている…」
M「まだ寝てる」
ソファーの上の少女に眠りから覚めたXが近づいていく
X「そうか…」
M「起こす?」
X「頼む」
少女を起こす
しばらくすると、うなりながら少女が起きてきた
するとちょうどそこに車の整備を終えたOが
油まみれの状態でやってきた
O「やっと起きたか、状況は?」
M「いやそれが…」
少女には記憶がなかった
分かった事はその少女が、自分の父の事しか覚えていない
ということだった
少女「?」
O「参ったな…」
少女から記憶が抜かれていた
X達にはその理由がわかっていたが
O「いうなよ…」
M「…」
当然のことであったが、その事は伏せられるのだった