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母校へ赴任

 時は流れて、元号が昭和から平成、そして令和へと変わった。


 2022年、早春。県立青葉高校に国語教師として高杉進也が赴任してきた。

「お帰りなさい、高杉先生」

 職員室で赴任してきた教師達を紹介し終えた教頭が改めて、高杉に握手を求めてきた。高杉は戸惑いながらも教頭の求めに応じた。

「教頭、お帰りなさいは違うと思うのですが」

「まあ、ここは高杉先生の母校なんですから」

 教頭はニヤニヤして高杉の左肩を軽く叩いた。

「そうだ、先生とコンビを組む佐藤先生を紹介しましょう」

「コンビ? 副担任ですか?」

「いえ、1年C組と1年D組です。先生にはD組の担任になって頂きます」

「そう言うコンビですか」

 職員室に水色のジャージ姿で右足を僅かに引きづった五十歳代の女性が入ってきた。

「あ、佐藤先生。丁度良かった」

「教頭、校長がさがしてましたよ」

「マジですか? じゃ、佐藤先生、高杉先生の事よろしく頼みます」

 教頭は校長室へと駆けて行った。高杉は「マジ」と言う言葉を何のためらいもなく使う六十歳前後の男性に、時代の移り変わりを感じた。

「佐藤先生、四月からよろしくお願いいたします」

 深く頭を下げる高杉を見て「変わらないなあ」と懐かしむ佐藤である。

「こちらこそ、よろしくお願いします。高杉先生、校内を案内しますわ」

 佐藤は高杉の背中を強めに叩く事で、自分の右足に気を使わせない様にし職員室を出たのである。

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