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引退

 1986年晩秋、亜矢子は遠藤に川柳部引退の挨拶をするため職員室に来ていた。

「遠藤先生、二年半お世話になりました」

「まさかお前が部長を勤め上げるとはな」

「高杉クンが背中を押してくれたからです」

 亜矢子が初めての全国高校川柳大会で大会委員長賞を受賞した事がキッカケで、多数の川柳未経験者が入部した。しかし遠藤の指導が厳しく、大半の者がすぐに退部、残った部員が川柳部に新しい風を入れて部員数は十名を越えた。亜矢子は高杉と共に新入部員達を指導したが、麻山や政美は新入部員達とうまく関係が結べず、肩書きだけの部長・副部長となり昨年の夏休みに川柳部を引退、高杉の薦めで亜矢子が部長となり、新入部員の中で川柳の上達が早かった一年生の後藤由紀子を副部長に任命した。

「若柳とはうまくいっているのか?」

「先生に言う事じゃないですから。それより、今度の春に転任されるとか」

「お前と共に青葉とおさらばだ。次の学校では川柳部はないらしい」

「お気の毒に、運動部とか無理そうですもんね」

「お前の心配なんかいらん」

「別に心配なんかしてませんよ、先生の事も川柳部の事も」

「案外、クールなんだな」

「部長には由紀子、副部長には岡元君を任命しました。あの二人なら私よりうまく運営出来ますから、じゃ本当にお世話になりました」

 亜矢子は深く頭を下げて職員室を出ていった。遠藤は来年度の川柳部顧問を誰に頼むか頭を悩ませつつ、翌日の授業の準備をするのだった。


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