表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/35

一服中

 青葉高職員室に併設されている喫煙室。数年前までは職員室で喫煙していたのだが、PTAから生徒達に悪影響を及ぼすとの意見が出て、当時の校長が生徒が出入りする場所での喫煙を禁じて、喫煙室を設けたのである。

「遠藤先生、いいですか?」

 昼休みの一服を堪能していた遠藤に生徒指導部の教師が近づいてきた。

「川澄が遅刻しそうになってたのを、助けてくれたそうですね。ご面倒をおかけしました」

 遠藤はお詫びとして、たばこ一本を差し出した。

「遠慮なく」

 生徒指導部の教師がたばこを加えたのを確認して、遠慮は背広の内ポケットからジッポライターを取り出してあげたたばこに火を着けた。

「ふう、昼飯後の一服はたまりませんなあ」

「確かに、で?」

「さっきの川澄の件なんですがね? 遅刻しそうになった理由が新聞を読んでたらしいんです」

 遠藤は苦笑するしかなかった。

「私は川柳なんてもんは全く分からないんですが、川澄は川柳が好きですよ」

「そうですかね? ラクそうだから入部したとしか思えませんが」

 遠藤は亜矢子が川柳部に戻ったら、彼女のために時間を割いてやろうと考えた。

「それに川澄は休部中でしてね、どうも川柳部が合わないみたいで」

 遠藤はたばこの火を灰皿に押し付けて消した。

「遠藤先生、何か目標を持っている奴は目の輝きが違う。川澄がそうです。もし、川澄が川柳部に戻って来たときは、何も言わず受け入れてやって下さい。私は生徒指導部の一員として、川澄に真っ当な道を歩ませてやりたいんです」

 遠藤は亜矢子が何故に高杉をはじめ、クラスメートや多くの教師から応援されるのか、その人間性が生み出す川柳を読んでみたくなった。

「そろそろ、午後の授業がありますので」

 遠藤は一礼して喫煙室を出て行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ