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シロクロ  作者: しろいるか
30/35

守るということ8

この見た目から"紅い生き霊"であることは隠しようがなかった。

当然、周りの反応も両親のそれと変わらない。



黒い鎧と黒い布によって封じられた体。

それでも、周りの態度は変わらない。


何とか距離を縮めようとしても、身に覚えの無い憎悪を向けられる刃を向けられる。




……それで、どう立ち向かえというんだ。


こんな、

外部から来たばかりの人間に

なにが分かるというんだ。


気に入らない……?

だったら……



「だったら、俺を護衛から外したらいい。別に俺は、好きであんたに就いたわけじゃない。」


「!?」


俺の言葉に、彼女は固まってしまった。

だが、構うものか。


どうせ、好かれようなんて毛ほども思っていない。

それで俺を外すようなら、所詮この人も今までの奴らと変わらないということだ。


「今度は、勇敢な頼りになる騎士に護衛を依頼してください。」




「……んな……。」


彼女の手が震えているのが見えた。


……言い過ぎたか?

泣かれても正直厄介だな……。




「なによその言い方ぁぁぁぁ!!」



バッチィィィィン!!



震えていた筈の彼女の右手が、大きく弧を描いて俺の頬へと突っ込んできた。



虚を突かれた俺は態勢を崩してよろける。


……痛い。

叩かれたのか、今?





「事情も話してくれないくせに、一方的に言われたからってへそ曲げて!ジェダさんこそ子供そのものじゃん!」


……いや、言おうとしたのに遮ったのあんただし……。


彼女は俺に反論する余地も与えず、まくし立てる。



「こっちだって迷惑だったら断ってくれても良かったのに!そんな言い方しなくてもいいでしょ!?それでも、ここで唯一頼れると思ったのはジェダさんだけだったのに!もういいです!!護衛は他の人に頼みますから。あなたは元のお仕事に戻ったらどうでしょうか!?」



それだけ吐き捨てると、彼女は呆けている俺を置いて、庭園から足早に去っていった。



俺は、そんな彼女の背中を見ていることしかできなかった。


……これでいい。

俺なんかを護衛につけていたら、困ることになるのは彼女自信だ。


俺には、悪霊は倒せても、その他のものから彼女を守りきれる自信はない。


自分でさえ、守れていないのに……。





"恥を知りなさい!"


あの時、彼女が言った言葉が頭を過った。




「……本当、恥ずかしい限りだよ……。」















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