第5話 失意
序章てきな部分がながくてすいません。
もう少しお付き合いください。
……ゴォ……ゴォォ……
……バサッバサッ……
かすかに聞こえるなんだかよくわからないもの音で、目が覚めると、薄暗くなった空の、遙か上空に、多数の鳥のようなものが群れを成して飛んでいるのが見えた。
……どこからともなく何かの燃えるような臭い……村の方を見ると、赤い空……昇る紅蓮の焱……
鳥のような群れは村の方から……嫌な予感を感じ、即座に跳び起き、村へと駆ける…………
どれだけ走っただろうか……村の前に着くとそこには全てを灰燼にするかのごとく焱が渦巻いていた……
「……そんな……」
しばらく茫然と立ち尽くしていた。いや、立ち尽くすしかなかった……自分の水魔術では、この焱を消すことはできないしかと言って突っ込んでも焼け死ぬだけだ……
やがて焱は消え残るのは灰燼と、焼け残った村の一部とくすぶっている火……。
むろん、その中に動くものはなかった……薄暗かった空も、いつしか漆黒に包まれていた。
どうして……
成人するための試験……終われば仲間と語らい、親との団欒……ちょっと特別な日常が待っているはずだったのに……
寝ていなかったら……もっと早く目覚めていたら……神とか抜かす変なやつと話をしなければ……そんな思いが幾重にも巡り………くすぶっていた火も消え焦げた匂いだけがただ彷徨っていた。
その匂いで我に帰り。そうだ!親父は?お袋は?という衝動にかられ、自宅のあったところへ駆け出していた!まだ、熱が残る地面の上を走って……
自宅のあったところに着いた、長年住んだ家はそこにはもう無く、ただ、黒く焼け残った木の一部があるだけだった……
「親父!お袋!」
もちろん返事はない、仕事場は⁉︎親父は、今日も仕事に行っていたはずだ、帰りはいつも日が暮れた頃になるからな……
急いで仕事場に駆けていく、その間に見る風景は、、どこもかしこも同じものが視界に入る……
仕事場につく、もちろん他と同じ様相である…
「おやじ………」
灰燼とかした場所を彷徨い見ていると、キラリと光るものが見えた、灰燼をかき分け、手にしたそれは見覚えのあるものだった。
そう、今朝見たものだ……少し熱で溶けてはいるが、親父の持っていたペンダント……そこには名前があった……(カルロ)そう書いてあった……
あの焱で、溶け残ったものだ……よっぽど特殊な力が込められていたのだろう。
失意の中自宅のあった場所に戻ってきていた。
(親父……お袋……そういや、他の人はどうなった……幼馴染の ラーシュ、ミレイ、スナイそれに、ラワサ先生……村のみんなは……きっと夢だよな……こんな……)
「う……うぅ…」
ただただ泣いた……なにが起こったのか、何故みんないないのか、何故村がこんなことになっているのか……
悪い夢なら早く覚めて欲しい。あの神様とかいう老人なら何故こうなったのかを知っているだろうか……
何故俺だけ……寝てなかったら俺もこうなっていただろうか……
訳もわからず色々なことを考えながらひたすら泣いた……暗い一面をただ見つめながら……
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