第1話 成人の朝
本編スタートになります
夢の中のサン……もとい、老人はなんなのか……主人公の行く末は……
「カイロ!朝よ!いつまで寝てるの?」
そんな声で起こされる。外では小鳥がさえずり朝日が眩しい。そんないつもの朝だった。
(あれはなんだったんだろう……不思議な夢を見た……)
そんなことを思いつつ、ボーッとしていると今度は男の声で
「早く起きてこねぇか!飯全部食っちまうぞ!」
といういつもの親父の声を聞き、夢のことなどすっかり記憶の隅に追いやり慌てて着替えてダイニングに向かうのだった。
寝ぼけ眼で席に着くといつものように朝食が並んでいる。
(まだ、全部揃ってないじゃん)
母親が温めていたミルクを持ってくる。
家族揃ったところで。いつものように朝食を食べはじめる。いつもの光景だ。そんな中、親父が一言。
「おめでとう」
母親も同じ言葉を言ってきた。
そこではっとして思いだす……俺の16の誕生日だった。そう思い、今日の夜が楽しみになっていた。
まさか、最悪の誕生日になるとも知らず……
プレゼントを期待していた。おおよその検討はついていたけどそれでもやっぱり早く見たいという思いがあった。
なぜ、検討が付いていたかというと、数日前に親父が大事そうに布がかけてあるそれを地下室に運び込んでいたからだ。大きさ的にはそこまで大きく無かったので、おそらく剣だと……
この国では16歳になると成人だ、成人になると親は武具を子供にプレゼントするという風習がある。人神が管轄する国内は全て一様にそうなっている。
何故そうなっているかというと、人神から創造されたとされる、人族は生来他の種族とは違い、とくにこれといった特徴がなく、だいたいなんでも器用にこなせるが、ほとんどのものが何かの境地に至れないのだ……
一部のものは、何かの境地にはいたるものの、そんなものは、ごく稀である。しかも、境地に達することができる特技が、剣技のことが多いためである。
ちなみに、16歳までは魔術、剣術、体術など、色々なことを学ぶのだが、その中で高い適性の特技に対応した武具がおくられるのだ。そして、自分は剣術が他のものより抜きんでていたため、予想ができたというわけだ。
「ところで、今日は最終試験で森に行くんだよな?」
物思いに深けてるとこで親父に言われはっとして
「そうだけど、大丈夫だよ?」
「なこたぁ、わかってるよ、ほらこれ!」
ほらよっと、というように、なげ渡されたものを見る…???
「最終試験のお守りミテェなもんだ、最終試験にはそれを持ってご先祖様に見届けてもらうのさ。」
何の変哲も無いペンダントだった。うらを返して何か彫ってあるのに気づく。それを見た親父が、
「うちの紋章が彫ってあるだよ。ちなみに、そっちが表な、うらは試験が終わった証拠と名前が自然に刻まれるようになってるからな。持ってけよ。ほらこんな感じだ。」
と、言って親父が見せてきたそれには、親父のカルロという名前が刻まれており、表は同じように紋章がある。
母親の方を見つめると……
「私のはないのよ……でも、試験は終わってるから証明するものはあるのよ?」と、心なしかさみしそうに、申し訳なさそうにいってきた。
???な顔をしていると……親父が説明を始めた、簡単に言うと、家柄で違うらしい。装飾品が上流、装飾品以外の加工品が中流、自然にあるものが一般という。ちなみに、その中でもさらに細分化されるとか……
「ってか、それって親父が上流ってことか?こんな田舎に住んでるのに??」
「まぁ、そこんとこの詳しいことは夜にでも説明してやるよ、それよりも、そろそろ行かないとまずいだろ?」
と、試験に行くように促してきた。気づけばだいぶ日も高くなってきていたので、さっさと、準備して出かけ間際に
「行ってきます!」
「「行ってらっしゃい!」」
試験は遅れても受けれるし、人によっては早く終わってしまう……自分は早く終わる部類だ……なので、遅れても良かったのだが、そんな事を親は今まで許した事がないので諦めて、両親に見送られて出かけて行くのだった……
読んでいただきありがとうございます。
思いつきで書いては推敲し読みにくい部分もあると思いますがご容赦ください。気になることがあれば教えてください。