013
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白く淡い陽光が巨大な樹々の隙間から差し込み、光の粒子と濃い朝霧が漂う神樹の森。その広大な森の中央で天空まで聳える母樹が森を俯瞰する。その母樹の天辺に広がる山のような枝葉の傘からは光の粒子が緩慢に降り注ぐ。
神樹の母樹の根元で蹲る始祖竜。母樹の四囲には艶やかな花々が敷き詰められた開けた空間。その広大な空間には十数名のエルフ達が始祖竜を守護するように点々と立ち尽くしている。
『……』
自分を守護してくれているエルフ達の後ろ姿が見えなくなるほど濃くなっていく朝霧に違和感を覚えた。始祖竜が異変に気付くとエルフ達も遅れて胸騒ぎを覚える。
『……来たか』厳かな声で呟いた始祖竜。
母樹が聳える界隈の森が濃霧に包まれ、僅か数十メートル先のエルフ達の姿が完全に消失した。蹲っていた翠玉色の巨竜が四足で立ち上がる。すると、エルフ達を掻い潜って四人の人間が姿を現し、始祖竜を囲む。
『まさか、目の前に現れてくるとはな……。この霧も貴様たちの仕業か』
樫之、佐々木、井口、渡の四人はバギボギと全身を膨張させ、弾けた衣服を舞い散らせる。あっという間に黒竜へ姿を変貌させた。目の前の始祖竜よりも一回りも、二回りも小さな体躯の彼らはスリット状の瞳に底知れない殺意と想いを滾らせている。
寸秒前までは霊妙で端麗な娘だった醜い黒竜は凍てつくような声音で言う。
『……殺す』




