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(これは心の内の声、独白です)
「(これは小声です)」
「じゃあ、今日は魔法の練習をするってことで」
「俺と同じく手を光らせるとこからやってみるか?」
「それなら、もっと簡単な方法があるよ」
「「!?」」
「やぁ、こんにちは」
(……知り合い、じゃなさそうだな。周の様子じゃ)
「(お前の縁結びのせいな。これ、出会ったの)」
「(ホントにそうなら、ホントにごめん)」
「あ、え、と。こんにちは……?」
「はい、こんにちは」
「(どうしよう、普通に話が通じる……)」
「(なんで困ってんだよ)」
「僕は晃太郎といいます。こっちは周」
「……ども」
「ご丁寧に。僕は***」
「……?」
(いま、なんて? 全然聞き取れなかった)
「分からないか。なら、『ヤミ』と名乗ることにするね。双子の妹がいるんだけど、そっちは『ヒカリ』って呼んで」
「ヤミさん、ヒカリさん、ですね」
「(闇と光ってずいぶんな)」
「(こら)」
「まあ、いきなり話しかけられて、変な名前で。怪訝に思うよね」
「あ、いえ、そんな……」
「実はさ、君たちのことずっと見てて、いつ話しかけようかと思ってたんだ」
「……え」
(やばい。『ハズレ』引いた、かも)
「シュウがこの辺りに留まってる限りは、様子見しようと思ってたんだ。だけど、コウタロウを連れて来て。冒険しようとしているね?」
「いえ、お邪魔であれば、帰ります。いますぐ」
「ううん、違うんだ。むしろ、歓迎している。こちらの世界を代表してね」
(歓迎……代表……?)
「この世界が君たちに害をなさないと約束しよう。その上で、冒険してほしいんだ、君たちに。ここが、『初めての草むら』となるように」
「それって……」
(この言い方、まるでゲームのような……。いや、でもさっき『こちらの世界』って。異世界説は合ってる。とすれば、ゲームがあるのはおかしい? おかしくない、のかな? 魔法があるから完全に別世界と思っていたけど、ある程度文化の共有があるってこと?)
「その前に少し、僕という存在について話させてもらおうかな。僕はね、この世界のことをなんでも知ることができるんだ。やろうと思えば、割となんでもできる。そのせいで全知全能なんて言われたりもするね」
「え……全知全能?」
「そういう訳じゃないんだけど、そう見えるかもしれないね。神様って呼ばれるくらいには」