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「……まあ、そういうオチもあったかもなぁ」
「茶化さないでよ、真面目な話だよこれは」
「可能性の話だろ、あくまで、晃が言った通り。俺は生きてるし、それでいいじゃん」
「バカ」
「バカって」
「……はあ、もういいよ。昨日帰って調べても何も分からなかったから、少しでも安心できる材料が欲しかったんだけど」
「それこそ、調べるだけ無駄だろ。幻界・神界・魔界・結界・並行世界、それっぽい言葉なんて山ほどあっても、ファンタジーと区別がつかなけりゃ何も参考にならねぇよ」
「まぁね……」
「常識が信じられねぇなら俺を信じろ」
「常識が信じられないなら新しく常識を作るよ、僕は」
「……」
「あ、そう言えば。『向こうの世界』の呼び名、さっきそれっぽいの並べてたけど。『異世界』はどう? 今のところ、どういう世界なのかも分からないし。ただ、こことは異なる世界、ってことで」
「言いやすいしそれで」
「よし」
「じゃあ――」
「行こうか」
「いこ……え?」
「なに? 今日は行かないの?」
「いや……『危ないかもしれないなら行くのやめよ』とか言うのかと」
「冗談。言ったでしょ、『常識が信じられないなら新しく常識を作る』って。行かなきゃ分からないなら、行かなきゃ。行くのをとめたのは一人だからってだけ。こんな面白いこと、見逃すわけないでしょ」
「間違いないな」
「それでは」
「いざ?」
「いざ」
「「異世界!」」