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翌日
「今日も『行く』?」
「行く」
「じゃあその前に宿題、学校でやっちゃおっか」
「真面目かよ」
「僕が真面目なんじゃなくて周が不真面目なだけ。帰ってやんないでしょ」
「逆に訊くけど、宿題やる意味ってナニよ」
「んー…コミュニケーションかな」
「は?」
「周はさ、授業が理解できてれば宿題は必要ないって言いたいんでしょ? じゃあ、先生から見て、先生の目線で考えてみてよ。宿題やってない人が授業を理解できてるってどう見分けるの? 授業の理解度を確かめるためにテストがあるって言っても、テストの時になって『最初の方の授業から理解できてませんでした』って言われても困るでしょ。だから、宿題を出す。理解の浅いところをあぶり出す。焦点を当てて固める。そして、次の授業をする。宿題は、先生に向けた『分かりました』『分かりませんでした』の返事だよ。コミュニケーション。大事でしょ?」
「……分かったから」
「返事を聞かずに一方的に伝えるのもコミュニケーションだよ。これが周に一番効くらしいし」
「そういう理解はするな」
裏山の洞穴(秘密基地)
「じゃあ行くか、『あっち』へ」
「待って。ちょっとここで実験していきたい」
「実験?」
「まだ怖いから。確認したいことがあってね」
「いいけど。なにすんの」
「周はここに来始めてもう1ヶ月経つんだよね」
「そーだな……ちょうど1ヶ月と1日」
「ちょうどの意味が分かんないけど。何か発見したことは? 昨日の光るとか、飛ぶとかの他に」
「んー…めっちゃ光ると、めっちゃ疲れることとか」
「めっちゃ光るってのはつまり、光りを強めるってこと?」
「そう。なんかブワーッて、オーラみたいなヤツまとってんじゃん、俺ら、いま。それを動かしすぎると、疲れて眠くなる。プール入った後の社会の授業みたいな感じ」
「……んんん?」