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暗殺者より愛をこめて  作者: カツ丼王
第二章 暗殺者の初恋
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08.花園への突撃

 養成所に連れ戻されて以降、パメラとの間には見えない壁のようなものがあった。

 だがピコの乱入騒ぎを経て、元の関係に戻ることが出来た。

 最後に見た彼女の笑顔を鑑みても、彼女の好感度は上々と言えるだろう。


「というわけで、本格的に銀髪巨乳の攻略を進めますか」


 陽が落ちた時分。彼はパメラの部屋の前にやって来ていた。

 宿泊棟の最上階、その隅に彼女の生活空間は広がっている。


 ノックで中を確認するが返事はない。

 さきほど宿泊棟の外から見た感じだと、バスルームの窓から光が漏れていたため、入浴中だと推測される。


「よーし、訓練の成果を示す時が来たぜ」


 仁はポケットから歪な金属片を取り出す。

 空のアルミ缶をハサミで切り、即席のカギとして代用できるようにした物だ。

 隙をついてパメラから鍵を拝借し、石鹸で型を取って作成した自信作である。


 強度は高くないため、鍵穴を覗きながら慎重に差し込んで回す。

 するとガチャリと小さな音が聞こえた。


 物音を立てないよう慎重に侵入し、扉を閉める。

 中は仁の部屋と変わらず、テレビやベッドがあるだけの質素なものだった。

 彼女の気配は感じないが、耳を澄ますとバスルームからシャワーの音が聞こえた。


「それでは銀髪巨乳ちゃんのお部屋を拝見して行きましょう」


 安全確認を終え、お宅訪問的なノリで洋服ダンスを開ける。

 引き出しの中から、几帳面に並べられたパンティやブラジャーが顔を出した。


「ほう、意外と見えないとこはお洒落ちゃんだったんですね」


 色とりどりの下着があるが、色っぽい黒のパンティが目に留まる。

 仁はそれを自分のポケットへと放り込み、価値のある戦利品とした。

 他にもブラジャーでウルトラマンごっこを楽しんだ後、クロ―ゼットへ向かう。


「ここは相変わらずボーイッシュですね。年頃の女の子がこれはいけません」


 革ジャンや紺のジャケットなど、女の子らしさに欠けた風景が広がる。

 Gパンはあるがスカートが見当たらない。ピコの着ていたようなゴスロリ服も当然ない。

 

 がっかりした仁は溜息とともに、クローゼットの戸を閉める。

 その後は熟練の変態の如く、枕の匂いを嗅ぐなどして部屋を物色する。

 すると途中、机に積まれた旅行雑誌を発見した。


「エジプト、オーストラリア? 何だよコイツ、海外旅行が趣味なのか?」


 受肉した天使という話だから、人間の社会や文化に興味があるのだろうか? 

 それとも諜報員としての情報収集を兼ねているのか? 

 十冊以上ある旅行雑誌を見るに、相当ご執心なことだけは確かである。


 するとバスルームの戸を開ける音が聞こえた。


(飛んで火にいる夏の虫とはこのことだ。……まあ今は冬だけど)


 呼吸を整え、咆哮と共に脱衣所へと飛び込んだ。


 仁の目に映ったのは、期待通り一糸まとわぬ真っ裸のパメラだった。


「……へ?」


 たわわに実った胸部の双丘と、ピンク色の乳輪が目に飛び込む。

 ちょうどドライヤーで髪を乾かしている所だったので、首から下がった銀色のペンダント以外に遮蔽物はなく、きれいにおっぱいが丸見えであった。


「え? あ……え?」


 濡れた銀髪の隙間、パメラの白い肌が羞恥に染まっていく。


「うわあああああ!? 何でここに居るんですか!?」


 顔を真っ赤にしたパメラは、ドライヤーを勢いよく投げつけてきた。

 集中力を高めていた仁は、反動で揺らめくおっぱいを眺めながらそれを躱す。


「呼びかけたのに返事がないから、心配してお邪魔した次第だ」

「ええ!? か、鍵を掛けたはずなのに!?」

「開いてたぞ? だから様子を見に来たんだろうが」


 平然と嘘をつき、偶然性を排したラッキースケベの言い訳を述べる。


 動じる素振りのない彼とは対照的に、パメラは急いでバスタオルで体を隠す。

 半泣きで羞恥に染まった顔はなかなか悪くない。


「鍵が開いていたとしても、部屋に入りますか普通!? 大体そこまでは百歩譲っても、脱衣所にまで足を運びますか!?」

「風呂から変態が出てくる可能性もあるだろうが。先手必勝だ」

「変態はあなたでしょう!? このスケベ!!」


 涙目のパメラは、拳を振り上げて猛獣のように襲い掛かってきた。

 まともに受ければ頭蓋骨が粉砕される。これは反撃すべき。


 仁は瞬時に腰を落として構え、パメラの右ストレートを撃ち払う。

 ついでにバスタオルも払い除け、彼女の上体に向けて掴み技を放つ。


「――ひあ!?」


 流れる動作で魅惑の果実を掴んだ。

 まさに訓練の賜物で、手の収まったぬくもりと柔らかさは至福の極み。

 ここに来てようやく仁は天使の存在を確信した。


「違うぞ? これは訓練の成果で、決していやらしい目的ではない」


 と言いつつ、全力をもっておっぱいを揉みしだく。

 手の中で乳房の形が変わる度に、パメラの口から艶めかしい吐息が漏れる。


「あう! な、何を――ふぁ!? は、離してください!」


 体勢が整うまでの刹那、心地良い感触を味わう。

 帰る場所もなく今後どうなるか分からない我が身を思えば、今やらなくていつスケベを働くというのだ。


「一度決めたら絶対に逃げない。そう心に決めたんだよ!」

「そこでさっきの決めゼリフ!? 感心した私の気持ちを返せ!」


 彼女の怒声が聞こえた瞬間、衝撃と共に意識が宙を舞った。

 たとえここで命がなくなったとしても後悔はない。自分は見事にやりきったのだ。

 達成感と満足感に浸りながら、彼の意識は消失した。


****


 紅山仁によって行われた電撃作戦は、被疑者の失神という形で幕を閉じた。

 意識を取り戻した彼は一時間に及ぶお仕置きの末、恩赦を得ることに成功した。


「それで、一体何の用だったのですか?」


 パジャマ姿の彼女から不機嫌そうな視線を向けられ、仁はやれやれと肩を竦めた。


「いつまで怒ってるんだ? 裸を見られて、ちょっとおっぱいを触られただけだろ?」

「死ぬまで筋トレをさせて欲しいですか?」

「勘弁して下さい。体中の筋肉が悲鳴を上げてる」


 お仕置きによって痙攣寸前まで酷使された筋肉が、ピクピクと震えている。

 さすがは戦車女たる先生である。懲罰すら訓練に含まれるとは恐れ入った。


「実は外出したいんだよ。ゴスロリ女が言ってたじゃん? 出来るんだろ?」


 仁はようやく本来の目的を話す。

 養成所の外に出たいという申し出に、パメラは目を細めた。


「あなたも言っていたように、養成所に居る方が安全です。逃げるとは流石に思っていませんが、何が目的ですか?」

「息が詰まるんだよ。いくら衣食住の心配がなくても、余暇がないのはキツイ」


 すでに養成所生活が始まってから二週間が経過している。

 その間、外に出たのは脱走を試みたわずかな時間だけ。

 そろそろ我慢の限界と言った所である。


 事情を理解しているのか、パメラもすぐに拒否するようなことはなかった。


「お前が一緒に居てくれるなら別に良いだろ? 出られるように計らってくれよ。じゃないとストレスで、またさっきみたいな凶行に走るかもしれん」

「それは普通に体罰ですが、確かに息抜きは必要ですね」


 ルールには厳しいものの、基本優しいパメラは頷いてみせた。


「分かりました。丁度色々と買い込まなければならない用事もありましたし、私から外出できるよう申請してみます」

「おう、頼むわ」


 仁の頼みを快諾した彼女だが、念を押すように言葉を添えた。


「言っておきますが、次あんな変態行為に出たら許しませんからね」

「あれは不幸な事故だった。悪気はないんだ」

「どうだか。あなたは意外と計算高い所がありますから、油断できません」


 疑いの眼差しを向けるパメラ。

 こうなるとポッケに収められた下着については、黙っていた方がよさそうだ。

 外出できるまではコイツで色々遊ぶとしよう。


「ありがとうございます。おかげで不自由しなさそうです」

「? 急に感謝されるのも違和感があるのですが、まあ良いでしょう」


 不信感の拭えないパメラだが、結局下着泥棒と出かける約束をしてしまう。

 用件を済ませた仁が部屋を出ると、背後でガチャリと鍵が掛かった。

 すっかり用心されてしまったらしい。

 もうあんな真似はするもりはないから別に良いが。


 鍵が掛けられたドアノブを見た後、大きく欠伸をかいた。


「さて、外出に向けて準備を進めますか」


 戦利品のパンティを振り回しながら、軽い足取りで自室へと戻った。

※合鍵作成

 専用の型取り器もありますが、石鹸や発泡スチロールでも型を取ることは可能です。

 スマフォで撮影した画像でも、十分代用できます。


 アルミ缶は加工しやすく、手に入れやすく、鍵としての強度も満たしているため

 材料としては非常に勝手が良いと言えます。


 これらを使って型から合鍵を作製し、あとはシリンダーを回転させるクリップ等を

 用意すれば仕事は完了です。

 

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