#2
「着いた、着いた。ここが、森山高校だよ」
ようやく、地獄から開放された僕でした。さて、気分を変えるために、通う事ととなる森山高校を見ますか。
あぁ、見た感じは、木で造られた木造校舎ですね。なんか、伝統がある校舎です。
「あの校舎は実を言うと、築百年なんだよ」
築百年ですか、壊れたりしないんですかね?
でも、百年も歴史があるならおもしろい噂とかありそうですね。ちょっと、ワクワクします。転校したら、調べてみようかな。
「そろそろ、行く?」
もう、十分見たのでいいですかね。
「はい、行きましょう」
今回は、普通のスピードだった……わけが無かった。と言いますか、公道でこんなにスピード出していいですか?
もう一度、地獄を味わい開放された僕は、お母さんの実家に着いた。お母さんの実家は、見た感じは武家屋敷ですね。
外から見たら広いと思いましたが、こうゆう家ってなんか出そうですよね。
「先、行ってて。車を車庫に入れてから行くから」
「はい、わかりました。先に行ってますね」
門の前で立っていないで、門を潜ると……そこは、別世界だった。
鹿おどしの音が単調なリズムを作りだして、時を刻み。それは、庭の静かさと時間の長さを教えてくれる。小川のせせらぎと、小鳥のさえずりが僕を癒してくれる。たぶんこのさえずりは、雀だと思う。そして、木々が僕を包み込んで、僕を安心させてくれる。この世界は、この庭園は、美で溢れかえっている。
きっと、この世界は、来た人に癒しと安らかさをくれる世界なんだと思う。そんな世界に、身を委ねていたら。
「何でそんなとこで、ぼぉーとしてるの? 入らないの?」
僕は、日向さんに声をかけられるまで、この世界に浸っていた。
「いえ、庭が凄いなと」
「そう? なんか、静かすぎじゃない。私は、こうゆうのは遠慮するよ」
「日向さんらしいね」
「おうよ。まぁ、行こよ。千草姉が待ってるだろうしね」
「ええ、行きましょう」
今日から、ここに住むことになるとは毎日が楽しみだ。
「連れて来たよ、千草姉」
「もう、連れてくるのにどれぐらい時間かかっているのよ」
「ごめん、ごめん。学校を見て来たからね」
「はぁ。まっ、いいや。母さんが待ってるから、居間に行って来て」
「げっ、何か悪いことしたかな」
「違うわよ。この前届いた、あれについてよ」
「……っえ? あれ届かないな、と思ってら母さんが受け取っていたの!」
「どんまい。これからは、気を付ける事ね」
「あぁ、最悪だよ」
「そうだ、涼太。母さんに挨拶してきてね」
「あぁ、わかったよ。お母さん」
しかし、日向さんはどうして、そんなにも落ち込むんだろうか?
「行きましょうよ、日向さん」
「……うん」
居間に行ったら、一人の女性がいた。
品があり、少し近寄りづらいけど、全てを包み込む風格がある人……
「久しぶりですね。涼太さん」
「あっ、はい」
この人が、僕の祖母である佐々木和子さんだ。
「千草が離婚した事は少し残念ですけど、涼太さんは今日からここで住みます」
そう言えば、お母さんが離婚した理由って何だっけ?
「はっ、はい」
「佐々木家の誇りを持つようにして下さい。自分の行動に責任を持って下さい」
「はい」
そう言えば、僕の苗字って千葉涼太から、佐々木涼太になるんだよな。
「涼太さんの部屋は、二階の部屋に用意してあります。荷物は先に置いてありますので、部屋を整理してくださいね」
「はい、わかりました」
和子さんとの話が終わり、部屋を出ると勝手に溜息が出た。
あの人と話すと凄く緊張する。なんか、心の奥まで見透かされてる感じがするからな、苦手なんだよ。確か、和子さんが言うには僕の部屋は二階だよな。
さて、僕の荷物に不備は無いかな? 階段を上ると、沢山の部屋があった。
僕の部屋は何処だろうか? 探すのが、大変そうだ。