表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
噂が人をたぶらかす・・・  作者: 水天日光天照
第一話『森山町の噂』
16/16

#16

 走って家に帰った僕の身体は当然、汗だくだった。気持ち悪かったので、ご飯より先に風呂に入ることにした。

「いい湯だな。」

 湯船につかりながら、噂について考えるか……。

 どこまで考えたんだっけ? えっと……吸血鬼復活の辺りだったな。

 なんで、吸血鬼復活が無いのに、【吸血鬼再来】なんだろうか? 【吸血鬼再来】は過去の吸血鬼と同じでは無いから、か? 確かに、今回の吸血鬼は誰一人殺してはいないけど。

まぁ、誰かを殺してると僕は思うんだけど……。さて、誰一人殺されていないのに、殺すと噂されてる【吸血鬼再来】。まるで、殺した事実事態が無くなってる感じもするんだよな。

「あれ? 無くなってる。無くなった。消失。消えた。消された……って消されただ!」

 そうだ、消されたんだよ。あの噂の真実は消されたんだ。【二人の吸血鬼】の吸血鬼の存在を。この噂は、勘違いで処理されたらしいけど、それはおかしい。なんで、「きっと、同じ現場をみたんだろうさ」って言葉が流行るんだ? 確かに殺された人は一人だけど、今の吸血鬼みたいなのが、その時から居たら?

 そう。【二人の吸血鬼】の内、一人が連続殺人犯。もう片方が、吸血鬼だとしたら? これなら、確かに殺された人が一人だ。と言う事は、今の吸血鬼が昔から居た可能性と、今の吸血鬼に似た存在が昔から居た可能性の二つ浮かび上がってくる……

 いや、待て。分かったぞ! 何故、【吸血鬼再来】なのかを。【吸血鬼現る】に出てくる吸血鬼は、二人の存在が混ざった噂だ。一人が連続殺人犯。もう片方が、吸血鬼なんだ。この両者は、似た格好だったから混ざった。そして、【二人の吸血鬼】が噂されることになった日に、たまたま両者が同じ時刻に別々の場所で目撃された。だから、【二人の吸血鬼】が広まった。だけど、その噂が広まることを恐れてガセだと流した。それがガセだと広めたのは吸血鬼のはずだ。だって、殺人犯はその行動から吸血鬼だと言われたけど、もう片方の吸血鬼は似てたから言われて、もし警察に追いかけられるとしたら、殺人犯のほうだけ。だけど、二人居たと噂されたら自分も追われる可能性があるから、ガセだと流した。そして、これが恐れた理由だ。

 どうして、吸血鬼は警察に追われたくなかったか? 推測でしかないけど……

「吸血鬼も人を殺してるから?」

 だけど、どうやって人を殺してるんだろうか? 殺した人は居ないのに殺している。

 これでは、殺した人の存在自体を消してる感じが……

「ちょっと、待って。これ、やばくないか?」

 もし、この推測が正しいならば。吸血鬼は、最悪の存在になる。いや、もうなってるか。

 そう。吸血鬼は【送り人】だ。正確に言うなら、今と過去の吸血鬼が【送り人】だ。これなら、今の【吸血鬼再来】の謎が解ける。誰一人殺していないのに、殺すと噂されてる謎が。

「これは、誰かに言ってもいいのだろうか?」

 誰かに言ったら消されてしまう気がする。だが、存在を消すなんて非科学的だ……

「だけど、人が消えるなんて……」

 考えでは否定してるんだけど、感情では肯定してる。そんな状況だ。

 それに怖い。もしこれが本当だったら、僕は消される。

 そうなったら、日向さんを苦しめることにも繋がる。それは駄目だ。

「何とかしないと……」

 うん? 扉が開く音がした。日向さんでも入ってきたのか? 蒸気で見えないけど、一応声をかけておきますか。

「日向さんですか?」

 【送り人】について、日向さんは知るべきだと思う。話すのは怖いけど、日向さんのためだ。

「少し、話をしたいんですけど……」

 あれ? 聞こえてるのかな? さっきから、何にも言ってこない。十分、聞こえてると思ったんだけどな……

「日向さん、っ!」

 な、なんですか。それは……。近づいたのか、日向さんのシルエットが見えたと思ったら。そこには、意外なシルエットがあった。大きな鎌に、何かを羽織った姿。それに、赤く輝く二つの瞳……

「あ、あぁ……。お、お前は……」

 そして、遂に姿が完全に見えた。やっぱり、変わらなかった……

「き、吸血鬼!」

 このままでは駄目だと思い、逃げようとしたが。身体が動かなかった。もしや、これは伝承にある吸血鬼の催眠術?

「え?」

 僕が戸惑ってると、吸血鬼が鎌を高く持ち上げた。このままでは、殺されてしまう。

 そんなのやだ、やだ。死にたくない。なんで、こんな…… 

 だが、無情にも吸血鬼は、鎌を振り下ろした……

 その時、僕は吸血鬼が何かを呟いたのを聞いたけど、聞き取れなかった。














         そこで、僕の意識は途絶えた……










これで終了です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ