#12
今は、一時間目の放課だ。朝の時、何回も翔太や綾乃に声をかけられていたけど、僕が気づかなかったことについて、責められている……
「涼太は、考えると周りが見えなくなるタイプなのか?」
「そうだと思うよ」
「本当に、気が付かなかったの?」
「何されていたの、僕?」
「翔太が、涼太の髪型を弄くっていたよ」
頭に、手を伸ばしたら変な感触があった。なんなんだ、これ?
「見る? 私、鏡持ってるよ」
綾乃から、鏡を受け取って見てみたら、僕の髪型がオールバックになっていた。
「似合わないな」
「似合ってるよ、その髪型。かっこいいじゃん」
「そう?」
「そうだって、綾乃が言うだから間違い無いって!」
いや、でも。やっぱりおかしいよね。
「そう言えば、何考えてたの?」
話を変える気か! まぁ、いいか。俺が考えていたのは……
「噂についてですよ」
「お! なんか進展でもあったのか?」
「うん、あったよ。特に【吸血鬼再来】と【神霊参り】についてね」
「へぇ。図書室では、六年前の事を調べていたけど。十五年ぐらい前の【神霊参り】についても調べてるんだ」
十五年前? 六年前じゃないのか? これは、どうゆうことだ? もしかして、書いた人も僕みたいに、噂を調べる人だったら? 十五年前となると……
「おい、涼太!」
「おぉい、涼太!」
うん? 呼ばれてる? って、
「あっ、ごめん。考え事してた」
「もう、何か考えることでも、あったの?」
「そうだぜ、急に黙り始めるから、何かあったのか?」
「ちょっと、気になることがあってね」
「何について?」
「【神霊参り】の噂の時期がね。綾乃が言った時期と、僕が知っていたのと違ったからね。」
「涼太は何時だと思ってたの?」
「僕は、六年前だと思っていたね」
「てか、それのどこが考える原因なんだ?」
「十五年前だからだよ……十五年前は、【吸血鬼現る】が流行った年なんだよ」
「【吸血鬼現る】? 何だそりゃ? 何なんだ?」
「知らないの、翔太は? 十五年前に起きた連続殺人事件が元になってる噂だよ」
「は? 十五年前にそんなことが起きていたのかよ。てか、俺らが2歳ぐらいの時じゃねぇかよ。知ってるわけないだろ!」
「そう? 有名だと思ってたけど、翔太は知らなかったのか」
「で、それが何なのさ?」
「【神霊参り】と【吸血鬼現る】の時期が一緒なんだよ。だから、なんか関係してるかと思ってね」
「で、なんか分かったのか?」
「いや、分からないけど、別の事ならね」
「何が分かったんだ」
「【湖の美女】って噂を知ってるかな?」
「知ってるぞ! 神霊湖に美女が現れるんだろ?」
「そう。たぶん、【湖の美女】と【神霊参り】は親子なんだよ」
「は?」
「どうして親子なの?」
「神様って言ったら性別は何を思い浮かべる?」
「男だろ」
「男性ね」
「そう。男をイメージするよね。そうなると美女が、その男の娘だと想像できない?」
「そうか? 勘違いだろ」
「それは、早とちり過ぎないかな? それに、女神様って可能性もあるんだよ」
あっ、女神の可能性があったか。これは、早とちり過ぎたな。
「そうか、女神か……」
「うん? 何か気づいたか?」
「考え事してる所悪いんだけど、もう少しで二時間目だよ」
もう、二時間目になるのか……二時間目は、移動教室だった。授業に遅れてしまった。