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できることなら、もう一度貴方の隣に。〜“殿下”、私を忘れてください〜  作者: 桜夜.Ari
第六章 忍び寄る影

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70/70

70 なにかを忘れている気がする

足を進める。


落ち葉を踏む音が、やけに大きい。



風は吹いているのに、枝が揺れない。


「……静かすぎる」


殿下が低く言う。


私は頷く。



魔物の気配はない。だが、何かが“いる”気配。


この先に、きっと。



振り返っても、木々しかない。


「殿下」


「分かっている。大丈夫だ」


その言葉に、そのまっすぐな瞳に、胸の奥がわずかに揺れた。




違う。


私は、貴方が……。


そう言いかけて、私は首を振る。


私に言う資格はない。


今は、それじゃない。



森の奥へ進むほど、空気が重くなる。


呼吸が浅くなる。


これは恐怖ではない。



森が、私たちを歓迎していない。



目の前に、魔力の層…結界が現れる。


殿下が一歩踏み出す。


が。


通ることは許されなかった。





「……結界だな、それも強大な魔力だ」


結界……。


敵意がない。


それに、この魔力は……。




その瞬間、ある記憶が頭を掠める。


アルテイア様の記憶だ。



これは、アルテイア様がノクテリオスを封印した後に、闇が浸透している場所に結界を張った場所の一つだ…。



「殿下、これは敵の結界ではありません。これは、容易く壊すことが可能です」




私は結界に手を当てる。





アルテイア様の術式だ。間違えるはずがない。


「……やれるか」

「はい」


息を整える。


時間の経過で、脆くなっているどころかむしろ——封鎖は強固だ。


だが、彼女の魔力は私と同じだから、問題はない。



私は魔力を流し込む。

封鎖は、抵抗らしい抵抗もなく、ほどけていく。



あまりに、あっけないような。



ぱきり、と音がした。



結界の魔力に細い亀裂が走る。


次の瞬間、結界が崩れる。


冷たい風が吹き出す。


奥は見えない、深い、闇。



「……開いたな。さすがだ」


セシルが一歩前に出る。



私は頷いた。


「…ありがとうございます」


胸の奥に、わずかなざわつき。


「……では、行きましょう」



私たちは、山の中へ足を踏み入れた。



何か…何かを見落としてる気がするのだけれど。

暗い森は、果てしなく続く———




ここまで読んでくださって、ありがとうございます。


続きが気になると思って頂けたら、ブックマークや評価をしてもらえると嬉しいです。


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