38 行こうか
作戦を立てましょう。失敗は許されないから」
「それについては、いい案がある——」
◇◆◇
「では……殿下。参りましょう、世界を、守りに」
私は手を差し出す。
殿下は頷き、私の手を取った。
「ああ。絶対、俺たちなら大丈夫だ」
そして視界は白くなり……先ほどの山付近の道に降り立つ。
作戦はこうだ。
いきなり魔法を使って山に入れば、前のように気取られてしまう。
だから魔力探知を避けるため、歩いて入る。
それまでは、魔法は使ってはならない。
それが最善だと分かっているけれど……魔法が使えなければ、私は何もできない、ただの荷物。
だからせめて、荷物にはならないように動かなければ。
「それでは、行こうか」
私は、こくりと頷いた。
その時だった。
前方から、人が走ってくる。
「逃げろ!」「急げ! 兵を呼べ!」
「なんだ!? 何が起こっている?」
殿下が、逃げてきた一人の男に問いかける。
「魔物の大群だ! お前たちも早く逃げろ!」
「魔物の……群れだと!?」
どうして……!?
人々が来た方を見る。
「っ……!!」
火が、燃え盛っているのが見えた。
「殿下、殿下。行きましょう! 私たちなら出来ます!」
「ああ! 元よりそのつもりだ!」
私たちは、人々とは逆の方向へと走り出す。
そのとき、誰かに手を掴まれた。
「お嬢さん! そっちへ行っちゃダメよ! 早くお逃げ!」
女性は、必死に叫ぶ。
でも——。
「ありがとうございます。でも……大丈夫です。だから、ここは私たちに任せてくれませんか?」
私はその女性の手を握り返し、そっと振り払った。
「本当かい……? あぁ……神様……ありがとうございます……」
「はい。必ず。皆さんの帰る場所を、守ります」
殿下が、短く頷く。
「行こうか」
私たちは、炎の立ち上る方角へと駆け出した。




