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66 私たちの番
「準備、と言っても――」
彼の言葉に、私は小さく首を振った。
「確かめたいことがあります」
「何だ?」
「クルーディア様が、このことに関わっているのかどうかを」
殿下は頷く。
「……彼女を斬れば済む話ではない、ということか」
「…斬…!?…斬ってはいけません。それに……彼女を失えば別の“器”を探すでしょう」
沈黙が落ちる。
「引き離す、か」
「はい」
失敗すれば、取り返しがつかない。
やり方もわからない。
イグナスが、一歩前に出る。
「殿下。女神様。その山域……我々魔法使いが張る結界が、すでに三度、壊されています。
また、本来生息しない場所にも魔物がでている状態です」
私は、無意識に胸元へ手を当てた。
急がなければ。
「では、そこへ行きましょう」
殿下は頷く。
私は、ゆっくりと息を整えた。
「“彼女”に会いに行きましょう。ノクテリオスが根を張る前に」
闇は、すでに動き始めてる。
今度は、私たちが、踏み込む番だ。




