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できることなら、もう一度貴方の隣に。〜“殿下”、私を忘れてください〜  作者: 桜夜.Ari
第二章 だから、思い出さないで

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21 引き止めないで



()と、少し話してもらえないだろうか?」



そう言われた時は驚いた。


だって彼は女性が苦手だから、話そうなんて言わないはずだから。


それに。


彼は、一人称を“私”と……呼んでいた。


壁を感じた。

壁があるのは普通なのに。なのに。


違うわ、私の前では俺って言っていたから、少し違和感を感じただけよね。


私がしたことだから、傷つく資格なんてない。


傷ついてなんかないわ。





「妹への贈り物を選びたいんだ。君のような女性の意見が必要で」




唐突な申し出に、私は困惑した。


なぜ引き止めるの?


女心ならメイドに聞けばいいじゃない。


女性は嫌いなんじゃないの?


セシル様の声は真剣だった。

けれど、私の心は大きく揺さぶられていてショート寸前。


ルアリナ、これ以上、彼と関わってはだめよ。

私の決意を揺さぶらないで。


もう嫌なの。


あんな思いをするのは。



かつて自分のすべてを捧げた人。

けれど今、その人の中に「婚約者のルア」は、もういない。



それなのに、彼の優しさや真っ直ぐな眼差しが、心に痛みを与える。



「申し訳ありません。私にはできません」


ルアリナはそっと頭を下げた。


「妹さんのこと、大切に想っていらっしゃるのですね。ならば、あなたの心で選ばれたものが、きっと喜ばれると思います」


セシル様は少し戸惑い、ほんの僅かだけ寂しそうな表情を見せた。


やめて。


そんな表情を見せないで。


「そうか。でも……。いや、迷惑をかけてすまない」



その言葉に、ルアリナの胸がきゅっと締めつけられる。


なぜ、そんなふうに言うの……。


私は耐えきれなくなり、それ以上言葉を交わさず、その場をそっと去った。

背を向けた瞬間、こぼれそうになった涙をぐっとこらえる。


もう、関わってはいけない。





私には、もう一度、あなたの隣に———



立つ資格なんてないというのに。

ここまで読んでくださって、ありがとうございます。


もしこの物語が、少しでも貴方の心に残ったのなら、続きが気になると思って頂けたら、ブックマークや評価をしてもらえると嬉しいです。

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