19 新たな一歩
私はフィアナさんの言ったことを考え、ある決断をした。
私は新たな一歩を踏み出さねばならないと感じた。
過去を振り返ることは容易。
私の心には確かにセシル様という存在が刻まれている。
しかし、それにとらわれている限り、前には進めないということを知っていた。
セシル様のことを、忘れることはできない。
だからもう思い出にするのだ。
いつか、彼が相応しい人と結婚しても、心から祝福できるように。
それが、私の答えだ。
私はフィアナさんに告げた。
「少しの間、帝都で暮らします」
「帝都……?」
「私はお父様に許可をもらって、帝都にあるエバンス子爵家の別荘で生活することになったの」
フィアナさんは一瞬驚いたが、すぐに笑顔を見せて言った。
「気をつけてね、ルアリナ。何かあったら、すぐ帰ってきてね」
気持ちを、清算しなければ。
ここにいるままじゃ、何も変わらないから。
「ルアリナ、本当に行くの?」
「ええ」
「わかった。絶対すぐ戻って来てね。……じゃあ学校行ってくるから」
寂しそうにカトレアは学校へ行った。
カトレアは今日は学校の日だ。
魔法使いの村では、月に五回、魔法学校が開かれるのだ。
「じゃあ、頑張ってね」
「うん。またね!気をつけてね!」
カトレアは手を大きく振った。