15 ミアのお願い
「じゃあ、そろそろ戻るわね。2人に心配かけたくないから」
「あ!ねえお姉様……ミアの、お願い、聞いてくれる?」
……うっ。
その言い方はずるい。
目を潤ませたミアーナが、私を見上げてくる。
“私”ではなく“ミア”と自分の名前で呼ぶ時、それは本気のお願いのサイン。
可愛い妹にそんな顔されたら、誰が断れるだろうか。
「……わ、わかったわ。どんなお願い?」
ミアはにやりと笑った。
「言質、取りましたわよ!じゃあ、一緒に寝てくださる?」
「「え゛」」
周囲から絶叫のような声があがる。
視線が、妙に優しくて、哀れんでいて。
「……わかったわよ」
ミアと寝るのは、命がけ。
彼女の寝相は、まさに世界一の破壊力。
ミアは自分が寝相が悪いことを知らないので尚更断れない。
「本当!?じゃ、行きましょっ!!みんな、おやすみー!」
「楽しめよ」
お兄様、絶対楽しんでるわね?
「ええ」
私も意地悪くにこりと笑ってファミリールームを後にした。
「ミア?入るわよ」
「おっねえさまぁ!待ってましたわ!ささ、寝ましょ!」
布団の中で、ミアは私をぎゅーっと抱きしめる。
「もう、可愛すぎるっ」
「んふふ、ありがと。ねえお姉様、魔法使いたちのこと、聴かせて?」
私はカトレアとフィアナさんの話をした。
「へぇ……カトレアちゃん、私より年下なんだ!会ってみたいな」
「今度、連れてくるわね」
私はにこりと笑う。
2人は仲のいい友達になりそうだ。
「本当!? 楽しみにしてる!」
「それより、もう寝るわよ」
ミアは目を閉じる。
私も、ミアを撫でた後目を閉じた。