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13 ただいま
今の時間なら、家族はファミリールームにいるはず。
私は鼓動を抑えながら、廊下を歩く。
会える喜びと、記憶を戻せなかったらという不安が胸を満たす。
大丈夫、きっと、大丈夫。
ファミリールームの前に立ち、ドアノブに手をかける。
中から聞こえる、懐かしい声。
「お父様、お母様、お兄様、ミアの記憶を戻して」
私は小さく呟いて、ドアを開けた。
黄金の光が舞い散り、部屋に満ちる。
その光が静かに消えた時、家族の視線が私に注がれた。
「ただいま、帰りました」
沈黙。
重く、静かな時の中、最初に声を発したのは。
「ルアお姉様なの……?ねえ、どういうこと……?わ、私たち、お姉様のこと……」
艶やかな藍色の髪と、桃色の瞳をもつ最愛の妹、ミアーナだった。
私は深く息を吸い、覚悟を決めて語り始めた。
この半年のこと。
魔物と出会い、セシル様から離れ、世界に忘却魔法をかけたこと。
死にかけた私を救ってくれた、魔女様のこと。
そして私が、「女神」であることを。