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第2+5 i章

第2+5 i章


雪咲寧々が朝食のお米以外を食べ終わった頃、七瀬いをりから連絡があった


いをりが電話越しに言った

「今日、診断結果出るんでしょ?学校終わったら会いに行きたいけど

 病院着くの6時過ぎちゃう。少ししかお話できない

 でもあしたなら土曜日だから朝から会いに行けるよ」

寧々は言った

「あしたゆっくり会いたい

もし病名がサルコイドーシスなら顔の皮膚がただれるかもしれない


2回も眼球の奥に注射したけど右目の虹彩と白目の部分が

かなり炎症起こしてるから会っても驚かないで

うさぎみたいな目になってる


そしてきのうから左目の虹彩も炎症が出てきた


いをりのキュートな顔も見えなくなるかもしれない

わたしの心配はいいから、自分のこころの準備をして

いをりは昔から可愛いけど、いをりの美しさはサンリオのマイメロ

みたいな可愛い系で、

わたしはダ・ヴィンチの描いた聖母マリア系の美しさでしょ


競走種目が違うから、むかしからライバル視してない

女子校だから奪い合う相手もいない

おたがい別の領域でがんばろう」


「わたしは木花咲耶姫という日本の神さまにご奉仕してるしがない巫女

だけど内面はわたしの方が聖母マリアだ」

寧々は言った

「神社の巫女なのにキリストに仕えちゃだめだよ。一個に絞りな

 それと聖母マリアは巫女装束きっと似合わないよ。茶髪だもん」


「日本の神様は800万人いる。キリスト一人入れても誰も気が付かないし

キリストなら日本国籍なくても外務省も総務省も気にしない

だって死んでるからどの国の国籍も持ってないもん

いや、復活したんだっけ

まあいいや

天皇陛下だって日本国籍ないんだ。あの人は神さまの末裔だから


何か持ってきて欲しいものある?お菓子とか差し入れていいんでしょ

 セブンイレブンの皮付きポテト美味しかったよ。他にも必要なものあれば言って

 カラコンとかリップとか

 あ、かわいいカチューシャとシュシュと黒のチョーカーがあってね」


寧々はいをりに言った

「日本聖書協会が発刊してる口語訳聖書が欲しいの」

「ちょっと待ってて」


寧々はベッドから起き上がり、病室の窓からスカイツリーを探した

明るいと場所が分かりにくいし、都心の方向は昼間、空気がよどんでいる


きっとあれが都庁で、あれがdocomoタワーで


白花美羽看護師が朝食を下げにきた

学校のテストで満点を取った子が母親に見せるような表情をしながら


美羽は言った

「ここで出されているお米はブレンド米じゃない。秋田こまちだ

 先入観が寧々ちゃんの舌を鈍らせたのだ。くそ忙しいのにくそ忙しい栄養士さんに

確認しに、初めて2階の栄養課まで行って確認したんだから間違いない

 だからきっと美味しいから食べた方が得だ。まだ時間ある、下げるの後にしようか?」


「お腹いっぱいだしお昼は食べる。でもあれが秋田こまちなんて信じられない

 きっと炊き方が悪かったんだ。それか新米じゃないんだ」


「いまの季節考えなよ。農家さんは苗を植えてる頃だよ

お昼は食べてね」


美羽看護師は食事を下げた


いをりは寧々に再び話し始めた

「ねねちゃん、Kindleで口語訳聖書あるよ。パソコンかスマホで読めるよ

そこにねねのMacBookあるでしょ。病院にフリーWi-Fiあったよ

前行った時確認した」


「ありがとう、でも紙のものが必要なの」

いをりは言った

「内容おなじじゃないの。紙じゃなきゃだめ?」


「どうしても紙の聖書が必要なの、いをりちゃん」


寧々は椅子に座り、目をつぶってこころを落ち着かせようとした

主治医のかおりせんせい(27才)は午前中時間を取れると思うから、と言っていた


かみさま、わたしはこれまでたくさん罪を犯しました。それは認めます  

いまさら聖書を読み直し教えを理解しても遅過ぎますか


キリストは盲目の少女のまぶたに手を触れ、目が見えるようにしてあげた

でももうキリストがどこにいるのか分からない

三日後に復活した描写でお話が終わってる

十字架にかけられ磔にされた、死に際のキリストの最後のことば


神よ、なぜわたしを見捨てたのですか


そして死にその後復活した

これをどう解釈するべきか、聖書に答えがあるはずなのに間に合わなかった

もうすぐ病名告知と今後の治療方針の説明がある


サルコイドーシスは原因不明の指定難病で、治療方法なんてほぼ一種類しかない

全身のあらゆるところに発症した炎症部位に身体が耐え切れるまで

ありったけステロイドを撒き散らす


寧々の場合は右目の眼球の虹彩だ




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