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うるせぇ上司に貼り付けるキョンシーのお札級退職願

作者: 一色 良薬

「サクバカ~いないのかぁ~サクバカ~!」

 朝っぱらから馬場課長のパワハラがだみ声大音量で炸裂する。

 「俺上手いこと、面白いこと言ってます」なんてドヤ顔を浮かべ、いじめを愛のあるいじりと信じて疑わない厄介者。

 今日もご機嫌にお気に入りの桜庭をメンタルフルボッコにし、わざわざ他部署からスキップしてやってきたのだからうざすぎる。

「木下! お前、あのでくの坊のサクバカと同期だろ? あいつは今どこにいる? この俺が朝の挨拶をしにきたってのに」

「馬場課長。桜庭はまだ出社していません。急ぎの件であれば僕の方で──」

「はぁ? 出勤時間はとうに過ぎてんだろ。偉そうに重役出勤か、使えない平社員が!」

 しかしお目当ての憂さ晴らしマシーンがいないと分かった途端、近くに設置されたゴミ箱を蹴とばして自分のご機嫌ごと吹っ飛ばしてしまった。

 相変わらず導火線が短いバ──馬場課長を冷めた目で見つつ、散らばったごみを回収してゴミ箱を設置しなおした。

 倒した本人は気にもせず、革靴の先でフロアの床を小刻みに叩いている。

「身の程を弁えない生意気な社員は一から教育しなおさないとなぁ。おい! サクバカの連絡先を教えろ!」

「それは出来かねます。それから部署の作業効率に影響しますのでお引き取りを」

「お前も立場が分かってないみたいだな! 流石サクバカの同期。類は友を呼ぶってか? いいや、あいつの代わりにお前が説教を受けろ」

「僕は何も責められるようなことはしていません。申し訳ありませんがお引き取りを」

「木下ぁ! 立場が分かって」

 ガラス戸で出来た部署のドアが勢いよく開いた。

 その先に立っていたのは上下グレーのスウェットを着込んだ桜庭だった。

 野暮ったい眼鏡の男が、ぎろりとこちらを睨んで足早に近づいてくる。

 無言の迫力に僕も馬場課長もしり込みしていると、左手を高らかにあげてそのまま馬場課長の顔面に真正面から平手打ちした。

「今までありがとうございました! バカ課長!」

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