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思いがけない真実

突然ですが、お知らせです。


 私・奥山メイも、ついに受験シーズンに突入してしまいました。カバンに思いっきり湯島天神の御守りつけてます(笑)

 本当なら、連載を継続していきたいと思っていました。特に『夏の盛りに〜』は連載の真っ只中。ここで中断してしまうのも微妙なところです。


 …が、流石に受験勉強と更新を両立するのが難しくなってしまいました。

読者の皆さんには申し訳ない限りですが、受験が終わる二月末まで休載とさせて頂きます。

『小説を書く者として甘い』というのは重々承知しております。

しかし、受験の中で、身の入らないまま書くよりも、しっかり集中して文章を作っていきたいと考えた結果、この決断をするに至りました。

何卒、ご理解の程を宜しくお願い致します。


 なお、再開は三月上旬を目指しております。

その時は新連載も開始する予定です。タイトルだけはマイページに載っているので、既にご存知の方もいらっしゃる…かな?

パティシエを目指す女の子の恋物語です。ヨーコちゃんとは違った、ちょっぴり優柔不断な主人公です。お楽しみに…



 では、暫くの間お別れです。短い間でしたが、ありがとうございました!!


      奥山メイ


 庄司家の前に、一台の車がスッと止まった。黒のローレルだった。運転席に座っているのは、整った顔立ちの美青年。助手席には、黒髪の平凡な女子大生。

二人は、ほぼ同時に車から降りてくる。


「…彼女も連れてきちまったのか?」

 疲れきった声で、岩波がぼやいた。

「俺たちは、通り魔の犯人を護送するんだぞ?女と犯人を一緒の車に乗せるっていうのは…」

「大丈夫っスよ」

 明るい声で、隼人が答えた。

「ヨーコは刑事目指してるんで。逆に喜ぶんじゃないでしょうか?…なっ、ヨーコ」

 くるっと恋人を振り返る。すると、彼女は顔中でニッコリ微笑んだ。

「その通りよっ。こんな機会、またと無いじゃない?」

「いや…しかし…」

 予想もしていなかった彼女の反応に、岩波はうろたえた。

 そんなことにお構い無く、ヨーコは隼人の隣から離れ、マルグレーテに見張られている拓人に歩み寄っていった。

「あーっ。あなたっ、吉祥寺駅にいた人でしょっ」


 隼人が、不思議そうにヨーコと拓人を見比べる。

「知り合い?」

 しかし、ヨーコは首を横に振った。 

「ううん。今朝会っただけ」

 それから、彼女は拓人に向かい合った。

「今朝は、色々ありがとうねっ。レッドイーグルとかブルーシャークとか、全然知らなかった。教えて貰えて助かったわ」


 ───そう。吉祥寺駅で、ヨーコは拓人と言葉を交わしていたのだ。彼女がレッドイーグルの名を初めて聞いたのは、拓人の口からだった。


「…」

 気の抜けた眼差しでヨーコを一瞥すると、拓人は目を伏せた。


「どうしたの?何でこんなところに?…あ、犬の散歩かっ」

 何も知らないヨーコは、しゃがみこんでマルグレーテの耳の後ろを撫で始めた。

 犬は、気持ちよさそうにクンクンと鼻を鳴らし、ヨーコに甘えて擦り寄る。

「かっわいぃ〜っ!!」

 ヨーコは歓声を上げ、マルグレーテを抱き締めた。「それに、あったかい…。メス犬なんだね。何て名前?」


 拓人は、目を伏せたまま答えない。というか、答えられない。

 すると、代わりに岩波刑事が口を出した。

「それは、警察犬だ。そのガキの犬じゃない。名前は…あー…何といったか…まあ、そんなことはどうでもいい。俺が本庁から借りた」

「すっごーい!!」

 ヨーコは瞳を輝かせた。「じゃあ、このコ麻薬とか見つけたり出来るんだ!!カッコいいーっ」

「噛み付くがな」

 冷静に岩波が言った。しかし、マルグレーテは唸ることもせず、ヨーコに身を任せていた。どうやら、噛み付く対象は犯人と岩波だけらしい。

 ヨーコは、マルグレーテの頭を優しく撫でている。それから、ちょっと首を傾げて拓人に目を移した。

「あなた、何でこんな所にいるの?」


 拓人の唇が、強く噛み締められた。


「そいつが犯人だよ」

 岩波が言った。

「レッドイーグルのメンバーだ」


 ヨーコが、パチパチと瞬きした。

「え…?」

 

 彼女の手から力が抜け、マルグレーテの頭から落ちる。

「うそ…」

「ホントだよ」

 ぶっきらぼうに、拓人が声を発した。

「俺がやったんだよ」


 ヨーコは、驚きを隠せない。

「うそ…うそよっ。だって、…」

 しかし、その先を繋ぐ言葉は、見つからなかった。 あの時、花火の広場で。

ガムを噛みながら、坂上竜也の噂話をしていた拓人。

ヨーコに話し掛けられても、普通に受け答えした拓人。

 まさか、彼が人を殺めた直後だったなんて…。


「通り魔は、いつ現れて、誰を殺すかわからない」

 岩波が呟いた。

「逆に言うと、普段は隣ですれ違ってる奴が通り魔だって可能性もある…これ位のことで驚いてるようじゃ、刑事を目指すのは生半可なことじゃねえぞ」


 拓人が、顔を上げた。

「刑事さん、一つ間違ってるぜ」

 

「なに…?」

 岩波が目を剥く。

「何が間違ってるっていうんだ?」

 拓人は、少しだけ猟奇的な表情を取り戻していた。

冷たい目をしているのに、彼の口元だけが笑みを浮かべている。

「俺はレッドイーグルなんかじゃない。奴らは、今回の事件には無関係だ」


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