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ヨーコに迫る危機

更新が遅くなってすみません…(´`)


受験勉強のため、ご了承ください。


駅ビルから出た途端、ひたすら気だるい熱風がヨーコを襲った。

カッと照りつける日差し。肌がジリジリと焦げる。


「本当は家まで送ってやりたいんだけどな」

隼人が、固い表情のままヨーコに言った。


通り魔は、どこに潜んでいるかわからない。

駅ビルを捜索中だが、すでに街中に逃げ出してしまっている可能性もある。


こんな危険な時に、ヨーコを一人で出歩かせるのは気掛かりなことだ。


しかし、ヨーコは輝く笑顔を見せた。

「大丈夫ょっ。一人で帰れないんじゃ、刑事なんて目指せないでしょっ」


「ヨーコ…」


「心配しないで。隼人は、私なんかより仕事に集中しなきゃ」

威勢よく言うと、ヨーコはバイバイッと手を振り、雑踏の中に消えていく。


隼人は、その後ろ姿を黙って見送った。

ざわざわと波のたつ心を抱えたまま…。


 …ヨーコは。

俺のしてきたことを知ったら、どう思うだろう?

警察官になるまでは、人に暴力をふるい、傷つけてきた。

学校にもろくに行かず、夜の街でほっつき歩いていた自分を、今までと同じように『好き』だと言ってくれるだろうか??


隼人の脳裏に蘇ったのは、やはり先ほどのヨーコの言葉だった。


『私、そんな人きらい…』


…俺のことも、嫌いになるのかな。


そう思うと、隼人は身が凍てついてしまうような気がした。


だから、言えなかった。

自分もレッドイーグルのメンバーだったことを。



駅から大分歩いた。

日はますます高く昇り、気温もどんどん高くなる。


暑い…。


肌にピリピリとした痛みを感じたヨーコは、日焼け止めを塗ってくるのを忘れたことに気が付いた。


「やばっ。肌、赤くなってる…」

あちゃ、と顔をしかめる。これ以上焼かないためにも、はやく家に着かなければ。


ヨーコは足を早めた。


後ろから、不審な影が彼女を見つめているとも知らずに…。



岩波は、花火の広場で行われている現場検証の間を塗って、走り回っていた。


一度など、指紋採取をしている監察官たちの中に突っ込んでしまった。


「おい!何やってんだテメ…」

怒鳴りながら振り向いた監察官は、相手が岩波だと気付くなり、言い掛けていた言葉を飲み込んだ。

ガクガク震えながら指紋に顔を戻すとき、

「すいませんでした…」

と小さく呟くのが聞こえた。

岩波は、誰からも恐れられる存在なのだ。

本庁のエリートですら、実績のある岩波には何も言えない時がある。

この男を制御できるのは、妻子の他にはマドンナしかいないだろう。


そんな彼は、あわてたように広場を走り回っていた。


目的は、ただ一つ。


隼人を探すためだ。


レッドイーグルとブルーシャークに話が及んだ以上、隼人を頼るのが最善策だと岩波は直感していた。


もちろん、部下に頼るのは気が進まない。

しかし、犯人逮捕を急がなければ、第二、第三の通り魔事件が発生しないとも限らない。

くだらないプライドは捨て去らなければならないのだ。


しかし、隼人の姿は広場のどこにも見当たらない。


…サボってんじゃないだろうな。

もしそうだったら、タダじゃおかねぇぞ。


そんなイライラを、岩波は何とか押さえ込んだ。


 *


ヨーコは、家へと続く住宅街の路地を曲がったところだった。


日差しは、相変わらず強く差し込んでくる。

その光を家々の庭の常緑樹が受けとめ、ギラギラと照り返す。

アスファルトから湯気が立ち上ってくるかのように感じる。


「ゆだっちゃいそー…」

ヨーコは、思わずひとりごとを呟いた。


ダラダラと流れる汗を拳で拭う。

彼女は、ハンカチのような女子的小物を持っていない…。

『アイロンかけるのが面倒くさいから』

というのが、その理由である。

隼人は、彼女のこのダメッぶりも、個性のうちだと感じているのだが…。


その時、背後から車がゆっくり近づいてくる音がした。



「どこ行ってたんだ、お前はぁぁっ!?」


岩波の大声。


「スイマセン!」

隼人はあわてて頭を下げた。

岩波は、怒らせるとなかなか止まらない。

『言い訳するより、サッサと謝ってしまった方が長引かない』のである。


「…まあいい」

隼人の予測どおり、岩波は落ち着きはじめたようだった。


ここは、花火の広場から少し奥に入ったところ。

井の頭公園への道に抜ける通路だ。

普段は人が激しく絶え間なく行き交っているが、警察が通行止めを行っている今、ここにいるのは岩波と隼人だけだ。


「話がある」

岩波が切り出した。


「…予想はついてます」

隼人が答えた。

「坂上竜也について、聞きたいんスよね」


岩波は頷く。

「その通りだ。警察内部で、やつらに一番詳しいのはお前だからな」


「…」

隼人は、フッと笑ってみせた。

「詳しいって言っても、ここ2年間はあいつらと接触してないんで。

話せることもアテにならないっスよ?」


「かまわない」

岩波は唸った。

「なんでもいい。坂上達也…いや、ブルーシャークとレッドイーグルの関係について教えてくれ。

今回の事件に繋がりそうなことなら何でもいい!」



後ろから近づいてくる、車の気配。

ヨーコは、パッと道の脇に寄って、車が通るスペースを空けた。


こんな住宅街に車が入ってくるなんて、珍しい。

ヨーコはチラッと振り向いて、車を見た。


黒いボディのワゴン車だ。後部座席にはカーテンがひかれ、まるで容疑者を護送する車のよう。


車は、スーッとヨーコの横を通り過ぎていった。

すれ違った瞬間、車の放つ熱気がむわっと襲いかかってきた。


蝉が、急に鳴きはじめた。



ヨーコは首を傾げた。

そのまま行ってしまうだろうと思っていた車は、ほんの3メートルほど先で停車したのだ。


「?」

ヨーコも、つられて歩みを止める。


バタン。


車の扉が開いた。


そして、中から黒ずくめの男達が飛び出してきた!!


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